病気事典[家庭の医学]

こうげんびょうはじこめんえきしっかん

膠原病は自己免疫疾患

膠原病は自己免疫疾患について解説します。

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解説(概論)

免疫はもともと外来の微生物から体を守る生体防御機構ですが、外から侵入する病原菌など(外来抗原)と自分自身を構成する成分(自己抗原)を厳密に区別して、自己抗原には免疫応答が起こらないような仕組みが備わっています。

しかし、膠原病患者の体内では自分自身の成分と反応してしまうリンパ球(自己反応性リンパ球)や抗体(自己抗体)が作られてしまい、このことが膠原病という病気を引き起こす原因になっていると考えられています。

このために膠原病は自己免疫疾患とも呼ばれます。したがって、膠原病の治療には病気を引き起こすリンパ球のはたらきを抑えたり、自己抗体の産生を抑えるために、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬が用いられます。

「難病」としての膠原病

膠原病は原因が不明で治療法のない「難病」というイメージがありました。事実、日本では膠原病とその近縁疾患の多くは、厚生労働省によって特定疾患(いわゆる難病)に指定され、公費補助対象疾患とされています(表2)。

しかし、近年の医学の進歩によって、膠原病の生命予後は大きく改善しました。膠原病の代表的疾患である全身性エリテマトーデスでは、ステロイド治療が導入される以前の3年生存率は50%以下でしたが、1960〜70年代には5年生存率75%、1980年代以降の5年生存率は90%以上と劇的な生命予後の改善がみられています。このような生命予後の改善傾向は他の膠原病についても確認されています。

これは、ステロイド薬の導入のみならず、ステロイド薬のきめ細かい投与法の確立、免疫抑制薬の開発、人工透析(とうせき)による腎不全死の減少、抗生物質の進歩による感染症の克服など、医療全般の向上が関係していることは疑いありませんが、その一方で診断技術の向上による早期診断、また従来は見逃されていた軽症例の増加も関係していると考えられます。

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