病気事典[家庭の医学]
りょこうしゃげりしょう
旅行者下痢症
旅行者下痢症について解説します。
執筆者:
国立感染症研究所所長
渡邉治雄
旅行者下痢症の解説(コラム)
旅行者下痢症とは、東南アジアなどの下痢性疾患が蔓延(まんえん)している地域を旅行したあと、さまざまな病原体に感染し下痢症を起こした場合の総称です。主な病原体としては、細菌類では腸管毒素原性大腸菌、コレラ菌、赤痢菌(せきりきん)、ビブリオ、腸・パラチフス菌、サルモネラ、プレジオモナスなどがあり、原虫(げんちゅう)類ではジアルジア、赤痢アメーバ、サイクロスポラなどがあります。
近年、東南アジアなどの発展途上国への海外旅行者数が増加してきており、加熱されていない生水や食品を飲食したのち、下痢を起こす人が増えています。腸チフス、コレラなどにかかり重症になる場合もあるので、加熱されていないものを食べないように、また殺菌処理されている水を飲むように心がける必要があります。
水様性の激しい下痢の場合は、殺菌されているミネラルウォーターなどで水分を十分に補給する必要があります。発熱、血便などがある場合には抗菌薬の投与が必要です。とくに小児、高齢者の場合には、単なる下痢だと甘くみないで、医療機関で早期に適切な治療を受けることが大切です。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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