病気事典[家庭の医学]
かんきゅうちゅうしょう(かんじすとましょう)
肝吸虫症(肝ジストマ症)
肝吸虫症(肝ジストマ症)について解説します。
執筆者:
順天堂大学大学院医学研究科生体防御寄生虫学准教授
奈良武司
どんな感染症か
肝吸虫という寄生虫が肝臓の胆管に寄生する病気で、全国各地で報告されています。肝吸虫の幼虫は、淡水にすむ魚のうろこや筋肉に寄生していて、幼虫をもつ淡水魚を生で食べると感染します。
幼虫は直径約0・1㎜の球形で、肉眼では見えません。成虫は体長が1~2㎝で、笹の葉のような形をしています。
症状の現れ方
肝吸虫の幼虫を飲み込むと、約1カ月で成虫になります。成虫は胆管に寄生し、産卵します。そのため、肝臓から胆汁が流れにくくなり、肝臓で炎症が起こります。
主な症状としては、だるさを感じたり、下痢を起こしたりします。胆管のなかで多数の虫卵が固まって胆石ができることもあります。成虫は20年以上生きるので、治療しないと慢性化します。肝吸虫症が進行すると、腹水や黄疸(おうだん)の症状が出て、いわゆる肝硬変(かんこうへん)に移行します。
病気に気づいたらどうする
肝吸虫症に特有の症状はないので、感染しても気づかない場合がほとんどです。そのため予防が大切です。
肝吸虫は、とくにコイ科のモツゴに高率に寄生しています。また、フナやコイ、タナゴ、ワカサギにも寄生します。これらの淡水魚を生で食べないことが大切です。
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情報提供元 :
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