病気事典[家庭の医学]
くもじょうけっかんしゅ
くも状血管腫
くも状血管腫について解説します。
執筆者:
群馬大学大学院医学系研究科皮膚科学准教授
田村敦志
原因は何か
肝硬変(かんこうへん)などの肝障害の患者さんや妊婦、経口避妊薬を服用中の女性などで多発してみられ、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの上昇が原因と考えられています。しかし、小児や健康な成人においても1個または少数の病変がみられることはまれではなく、この場合の原因は明らかではありません。
症状の現れ方
中央部に赤く軽度に隆起した1~3㎜の発疹があり、これを中心に毛細血管が放射状に数㎜~2㎝程度、クモが足を広げたように伸びています(図85)。中央部の隆起した部分は動脈なので、指で触ると拍動が感じられることもあります。顔面、頸部(けいぶ)など上半身によく現れます。
小児や健康な成人では通常、1個または少数みられるだけですが、肝障害、とくに肝硬変のある患者さんや妊婦、経口避妊薬を服用中の女性などでは多発します。また、妊娠や肝硬変に伴ってみられる時には、手のひらが赤くなる手掌紅斑(しゅしょうこうはん)という症状を合併しやすくなります。
検査と診断
通常は見た目だけで容易に診断できます。問題は原因となる疾患があるかどうかです。小児に少数みられるものはとくに問題ないので、検査は必要ありません。成人で多数みられた場合には、肝機能検査や妊娠の有無をチェックします。
治療の方法
小児や若年者、妊婦では自然に消えていくことが多いので、とくに治療する必要はありません。治療を希望する場合には色素レーザー治療、または細い針を中心に刺して電気で焼いて破壊します。
病気に気づいたらどうする
皮膚科専門医を受診して、検査を受けたほうがよいかどうか相談してください。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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