病気事典[家庭の医学]
ほうかしきえん(ほうそうえん)
蜂窩織炎(蜂巣炎)
蜂窩織炎(蜂巣炎)について解説します。
執筆者:
香川県立中央病院皮膚科主任部長
多田讓治
原因は何か
主として黄色ブドウ球菌によりますが、化膿連鎖(れんさ)球菌など他の細菌によって生じることもあります。菌は、毛穴や汗の出る管、小さい傷、あるいは骨髄炎(こつずいえん)など深い部分の感染症から、皮下脂肪組織に侵入して発症します。リンパのうっ滞や浮腫がもとになる場合もあります。
症状の現れ方
広い範囲がぼんやり赤く硬くなってはれ、熱感とさまざまな程度の痛みがあります(図52)。顔や四肢に最もよくできます。熱が出て、寒気・頭痛・関節痛を伴うこともあります。時間がたつと少しぶよぶよして、うみが見えることもあり、また、そこの皮膚が破れてうみや傷んだ皮膚組織が流れ出て、深い潰瘍ができることもあります。
検査と診断
血液検査では、白血球が増え、CRP(炎症検査の項目)の上昇がみられます。せつ(せつ)・癰(よう)でみられる膿栓(のうせん)(毛穴に一致してうみが見える点)はできません。丹毒(たんどく)は浅いところの蜂窩織炎ですが、必ずしも区別は簡単ではありません。結節性紅斑(けっせつせいこうはん)は皮膚の狭い範囲の赤みのあるしこりで、主に下腿にできます。
蜂窩織炎に似ていても、高熱、激しい筋肉痛や関節痛、血圧低下などがみられる場合は、壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)の発症を考えて対処します。
治療の方法
赤く熱感のあるところは安静にして冷やします。適切な抗菌薬の内服あるいは点滴静注が必要なので、早めに皮膚科を受診したほうがいいでしょう。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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