病気事典[家庭の医学]
こうひしょう
紅皮症
紅皮症について解説します。
執筆者:
昭和大学藤が丘病院皮膚科教授
末木博彦
原因は何か
紅皮症は、それぞれ原因の異なる皮膚病に続いて発症します。最も頻度が高いのはアトピー性皮膚炎や高齢者の乾皮症性(かんぴしょうせい)湿疹に続いて発症するタイプです。
このほか、天疱瘡(てんぽうそう)、乾癬(かんせん)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)、毛孔性紅色粃糠疹(もうこうせいこうしょくひこうしん)などの各種皮膚病が全身に広がって紅皮症になるタイプ、薬疹などの中毒性紅皮症、薬剤性過敏症症候群、菌状息肉症(きんじょうそくにくしょう)やセザリー症候群などの皮膚の悪性リンパ腫による紅皮症があります。
症状の現れ方
全身または広範囲の皮膚にびまん性の紅斑がみられ、落屑を伴います(図10)。通常、かゆみがあります。全身症状として発熱、悪寒や震えなどの体温調節障害、リンパ節のはれ、全身の倦怠感(けんたいかん)、体重減少などを伴います。
検査と診断
どの病気がもとにあって紅皮症を発症したのかを調べる必要があります。皮膚の生検(病気の皮膚を数㎜切り取って調べる病理組織検査)は、もとの病気が何かを知るうえで有用です。
紅皮症に共通する血液検査所見として白血球数、好酸球数、LDH(乳酸脱水素酵素)がいずれも増加します。また、紅皮症では有棘(ゆうきょく)細胞がんの腫瘍マーカーであるSCCが血液中に増加しますが、がんの心配はありません。
治療の方法
湿疹・皮膚炎に続発する紅皮症には、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬の外用と抗ヒスタミン薬の内服が有効です。乾癬に続発する紅皮症にはエトレチナート(チガソン)の内服、PUVAもしくはナローバンドUVB療法(紫外線照射)、高濃度ビタミン
薬疹による紅皮症では原因薬剤を中止し、副腎皮質ステロイド薬の外用、時に内服が行われます。
内臓障害を併発して死亡することのある薬剤性過敏症症候群では入院治療が必要で、副腎皮質ステロイド薬の内服や全身管理が行われます。
菌状息肉症などの皮膚悪性リンパ腫による紅皮症では、ナローバンドUVBなどの紫外線療法や電子線照射が行われます。
病気に気づいたらどうする
皮膚科専門医を受診して、もとの病気を調べ、それに合った治療を受ける必要があります。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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