病気事典[家庭の医学]
きょせきがきゅうせいひんけつ
巨赤芽球性貧血
巨赤芽球性貧血について解説します。
執筆者:
大阪市立大学大学院医学研究科血液腫瘍制御学教授 日野雅之
どんな病気か
細胞が増えるためにはDNAの合成が必要で、その際、ビタミン
ビタミン
このほか、ビタミン
原因は何か
巨赤芽球性貧血の原因は、表2に示すようにビタミン
ビタミン
一方、葉酸は体内貯蔵量が少ないので、妊娠、造血機能の亢進(溶血性(ようけつせい)貧血など)、炎症、白血病(はっけつびょう)、悪性腫瘍に伴ってしばしば欠乏します。また、葉酸は熱に弱く、アルコールの多飲により小腸での吸収が障害されます。そのほか、葉酸拮抗薬などの薬剤も巨赤芽球性貧血の原因になります。
症状の現れ方
貧血は徐々に進むことが多いため、体が順応して初期には明らかな貧血症状がみられないこともあります。一般的な貧血症状(動悸(どうき)、息切れ、易(い)疲労感、全身の倦怠感(けんたいかん)、頭重感、顔面蒼白など)に加えて、消化器症状として舌の表面がツルツルになり(舌乳頭萎縮(ぜつにゅうとういしゅく))、痛みを伴うハンター舌炎や、味覚低下、食欲不振、悪心などのほかに若年者での白髪もみられます。
さらに、ビタミン
検査と診断
血液検査で、大球性高色素性(だいきゅうせいこうしきそせい)貧血(MCV・MCHの高値、MCHCは正常)、白血球減少および血小板減少(汎血球減少)を示すことが多く、白血球分類で過分葉好中球(かぶんようこうちゅうきゅう)がみられます。生化学検査では、間接ビリルビンおよびLDHが高値、ハプトグロビンが低値を示します。骨髄検査では、赤芽球系細胞が過形成を示し、巨赤芽球が高率に認められます。
特殊な検査としては、ビタミン
治療の方法
ビタミン
葉酸欠乏の場合は、原因に対する治療(禁酒など)と葉酸の経口投与による補充療法を数週間続ければ改善しますが、摂取不足や妊娠による需要の増大による欠乏の場合は、平素から葉酸を多量に含む食品(ホウレンソウなどの葉物の野菜や果物、豆類、レバー)をとることが大切です。また、葉酸は熱に弱いため、調理法にも気をつける必要があります。
病気に気づいたらどうする
症状に気づいた時は、内科を受診して血液検査をしてもらいます。巨赤芽球性貧血は補充療法など適切な治療を行えば予後は良好です。しかし、同じような検査値の異常を示す疾患に、骨髄異形成(こつずいいけいせい)症候群や赤白血病(せきはっけつびょう)などの造血器悪性疾患(ぞうけつきあくせいしっかん)もあるので、大球性貧血と診断された時は血液内科を受診したほうがよいでしょう。また、悪性貧血の場合は胃がんを合併することがあるので注意が必要です。
血液・造血器の病気で処方される主な薬剤を探す
血液・造血器の病気を読んだ人によく読まれている記事
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。