病気事典[家庭の医学]
せいぶんかいじょう
性分化異常
性分化異常について解説します。
執筆者:
弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学教授
須田俊宏
弘前大学大学院医学研究科内分泌代謝内科学助教
二川原健
どんな病気か
性器は胎児期の初めには男女とも同じ形をしており、胎児の発育とともに変化して、それぞれの型になります。この変化が何らかの原因で不十分となると、その中間をとるいろいろな形態の異常が起こります。これを性分化異常(外性器異常)といいます。どちらの性で出生届を出すか、問題となります。
原因は何か
頻度が最も高いのは21‐水酸化酵素欠損症です(副腎性器症候群(ふくじんせいきしょうこうぐん))。このほか 、21‐水酸化酵素以外のステロイドホルモン合成酵素欠損症や、性分化に関わるいろいろな蛋白質(転写因子など)の異常によって性器の形の異常が起こりえます。なお、出生時の性器の形態は正常でも、性腺組織の発達異常を来す染色体異常もあります(クラインフェルター症候群、ターナー症候群など)。
症状の現れ方
女性型に近い場合では陰核(いんかく)の肥大のみにとどまります。より男性型に近くなると、腟(ちつ)が盲端(もうたん)に終わる(子宮につながらずに行き止まりになる)、陰核の長さが増して陰茎(いんけい)のようになる、大陰唇(だいいんしん)が癒合(ゆごう)して陰嚢(いんのう)のようになるなどが現れます。さらに男性型に近い場合では尿道下裂(外尿道口の位置が下になる)のみが目立つものもあります。
検査と診断
ホルモン検査と染色体検査(遺伝的にはどちらの性なのか)が重要です。21‐水酸化酵素欠損症は新生児マススクリーニング(かかとからの採血検査)で、17α(アルファ)‐ヒドロキシプロゲステロンが高いことで発見されます。
治療の方法
副腎性器症候群の場合は、まず生存に不可欠なステロイド薬の内服治療が必要です。そのうえで、将来、女性として子供をつくることができる可能性はどの程度か、性器の見かけはどちらに近いかを判断し、時期を選んで性器の形成手術や性ホルモン投与による治療を加えます。
病気に気づいたらどうする
小児科、産婦人科、泌尿器科が合同で検討する必要があります。最終的な性の選択は、専門医の意見を聞いたうえで両親が決定することになります。
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情報提供元 :
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