病気事典[家庭の医学]

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ビリルビン代謝と黄疸

ビリルビン代謝と黄疸について解説します。

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ビリルビン代謝と黄疸の解説(コラム)

 脂溶性で細胞毒性が強い間接型ビリルビンは肝細胞に取り込まれ、滑面小胞体(かつめんしょうほうたい)にあるウリジンジホスフェート・グルクロン酸転移酵素によって、グルクロン酸抱合(ほうごう)を受けて直接型ビリルビン(水溶性で細胞毒性は弱い)となり、胆管や毛細血管に排泄されます。

 肝細胞による間接型ビリルビンの取り込みからグルクロン酸抱合を行うまでの過程のどこかに軽度の障害があり、間接型ビリルビンを十分に直接型ビリルビンに変換できない病気を、まとめてジルベール症候群と呼んでいます。

 これに対して、常染色体劣性(じょうせんしょくたいれっせい)の遺伝形式をとるクリグラー・ナジャール症候群では、第1番染色体上にあるウリジンジホスフェート・グルクロン酸転移酵素(UDPGT‐1)に変異があり、その活性が低下するため、間接型ビリルビンを十分に直接型ビリルビンに変換できないのです。

 ですから、この酵素活性がゼロになるような変異をもつ場合には死に至ることもあります。

 グルクロン酸抱合後のビリルビンを毛細胆管に送り出す過程にはMRP2という物質が重要なはたらきをしています。このMRP2のはたらきに異常があり、肝臓が肉眼的に黒緑がかった色調を示するのがデュビン・ジョンソン症候群で、常染色体劣性の遺伝形式を示し、思春期以降に発見されることの多い病気です。

 ローター症候群でも同様にグルクロン酸抱合後のビリルビンを毛細胆管に送り出す過程に障害があり、常染色体劣性の遺伝形式をとりますが、詳細についてはまだ解明されていません。

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