病気事典[家庭の医学]
げきしょうかんえんとういるすのいでんしがた
劇症肝炎とウイルスの遺伝子型
劇症肝炎とウイルスの遺伝子型について解説します。
執筆者:
岩手医科大学医学部内科学講座消化器・肝臓内科分野教授
鈴木一幸
劇症肝炎とウイルスの遺伝子型の解説(コラム)
劇症肝炎の原因となる肝炎ウイルスのなかで、A型、B型およびC型についてはウイルスの遺伝子型と病態との関連が検討されています。ここではB型肝炎ウイルス(HBV)についての話題を紹介します。
HBVの遺伝子型(サブタイプ)は、現在のところA〜Hの8つに分類され、これらの遺伝子型の世界的な地域分布には特徴があります。
遺伝子型AとDはヨーロッパおよび地中海沿岸流域に広く分布し、日本を含む東アジアではBとCが中心です。Eは西アフリカが中心で、Fは南米で、Gは米国とフランスで分離同定されています。
日本に多い遺伝子型BとCについても、沖縄や東北地域を除く他の地域(本州)では大部分がCであり、沖縄ではBが半数以上を占め、東北地域がその中間を示します。
最近の研究により、これら遺伝子型の違いが肝病態の進行と密接に関連していることが明らかとなってきました。B型劇症肝炎についても遺伝子型が調べられていますが、多数例で検討した成績は少なく、地域性もあるため、どの遺伝子型が劇症肝炎を起こしやすいかは明確ではありません。一般的には、劇症肝炎では遺伝子型Bの割合がCよりも多い傾向にあります(図5)。
なお、慢性肝疾患では遺伝子型CがBよりも多いです。
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