病気事典[家庭の医学]

きゅうせいいかくちょう

急性胃拡張

急性胃拡張について解説します。

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どんな病気か

正常な胃は、食物が入ってくると拡張しますが、食物は順次、蠕動(ぜんどう)運動によって小腸へ排出されて、内容物が減れば胃は縮小します。一般に、急性胃拡張という用語は、不快な腹部膨満感(ぼうまんかん)を比較的急速に自覚した場合に用いられ、正式な病名ではありません。

原因は何か

さまざまな原因で起こりますが、器質的疾患による場合と機能的疾患による場合に分けられます。

器質的疾患の代表例は、胃がんなどのために食物やガスの停留が起こるような場合であり、機能的疾患の代表例は、糖尿病性神経症(とうにょうびょうせいしんけいしょう)による胃運動の低下のために起こる場合です。

症状の現れ方

強い腹部膨満感が主ですが、嘔吐が現れることもあります。

急性胃拡張と思っても、胃に原因があるとは限らず、小腸や大腸などの腸管拡張の一部であることも少なくありません。原因が何であれ、食物停留やガスにより、ある程度以上の胃(ないし腸管)拡張が起これば、生理的反応として嘔吐が起こります。

検査と診断

腹部単純X線検査で簡単に診断できますが、腹部超音波検査でも拡張した胃が描き出されます。急性胃拡張の原因を検査することが重要で、そのためには胃X線造影検査や胃内視鏡検査のほか、一般の血液検査や尿検査が必要です。

治療の方法

治療は原因疾患に対して行います。急性胃拡張が著しい場合は、胃管の挿入などによって胃の内圧の減少を図ります。予後は原因疾患によって異なります。

病気に気づいたらどうする

薬剤による消化管運動の低下が原因となる場合もしばしばみられるので注意しましょう。最近、いつもどおりに排便があったかどうかに注意します。急激に症状が現れた時は、絶食して検査が可能な医療機関を受診してください。

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