病気事典[家庭の医学]

へんとうあくせいりんぱしゅ

扁桃悪性リンパ腫

扁桃悪性リンパ腫について解説します。

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どんな病気か

扁桃は上皮とリンパ組織が混在する部位(図12図13)で、免疫の重要な役割を果たしています。そのリンパ組織から発生する悪性腫瘍が扁桃悪性リンパ腫です。

扁桃のなかでは、口蓋扁桃(こうがいへんとう)に多く発生し、次いで咽頭扁桃(いんとうへんとう)、舌根扁桃(ぜっこんへんとう)の順です。扁桃原発のものは、悪性リンパ腫全体の10~20%です。

症状の現れ方

悪性リンパ腫では、強い痛みを感じることが少ないのが特徴です。初めの症状としては口蓋扁桃の腫脹(しゅちょう)、のどの異物感、咽頭痛です。腫瘍が周囲に浸潤した場合に、嚥下痛(えんげつう)、耳への放散痛を生じます。

多くの場合、頸部(けいぶ)のリンパ節は無痛性に腫脹します。咽頭扁桃に発生すると、耳管が閉塞するための難聴(なんちょう)や鼻閉(びへい)が認められます。

検査と診断

診断を確定するには、腫瘍から組織を少量採取して顕微鏡で観察する組織診断が重要です。また病期診断には、全身器官への浸潤の有無を確認するために、肺、縦隔(じゅうかく)、腹部のCT、MRI、ガリウムシンチグラフィ、腹部超音波検査、消化管内視鏡検査、骨髄穿刺(こつずいせんし)などが必要です。また最近、FDG‐PET検査が保険適用となり、感度、特異性ともにシンチグラフィよりも優れているため、第一選択の検査となりつつあります。

以上の検査結果を総合して、病気の進展範囲を決定します。

治療の方法

病気の進展度によって治療法が若干変わりますが、基本的には放射線療法と化学療法を組み合わせて行うほうが、単独療法より高い治療効果が得られます。

悪性リンパ腫の予後は臨床病期、組織型および細胞型によって大きく異なります。一般に、B細胞型はT細胞型に比較して予後は良好です。再発はリンパ節、消化管に多くみられるので、定期的な診察、検査が必要です。

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