病気事典[家庭の医学]
こうがいりゅうきとかがくりゅうき
口蓋隆起と下顎隆起
口蓋隆起と下顎隆起について解説します。
執筆者:
東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座教授
山根源之
原因と症状の現れ方
(1)口蓋隆起
硬口蓋(こうこうがい)の中央部に、境界がはっきりした限局性の骨の隆起がみられます。一般的に外形は紡錘形(ぼうすいけい)ですが、結節状や扁平状の場合もあります。
通常は歯科受診時に病変部を指摘されるまで、無症状に経過します。大きくなると発音障害が現れたり、食事がとりにくくなります。
口蓋隆起は食物の通過路に突出し、直上の粘膜が薄いので、硬い食べ物で簡単に傷がつきます。また、義歯(ぎし)作製時には義歯床下に緩衝腔(かんしょうくう)をつくりますが、義歯を設計するうえで邪魔になる場合は外科的切除が必要です。
発生原因は不明ですが遺伝的な素因も考えられています。
(2)下顎隆起
下顎骨の小臼歯部舌側にできる半球状の骨の隆起で、境界ははっきりしています。多くの場合は両側性で、大小数個みられます。隆起した骨表面は健常の粘膜でおおわれていますが、口蓋隆起と同様に表面の粘膜は薄く、歯ブラシや食べ物で容易に傷がつきます。
加齢とともに少しずつ大きくなりますが、表面の粘膜が損傷しないかぎりは無症状です。口蓋隆起と同様に、歯科受診時に指摘されて初めて自覚することが多いようです。
無症状であっても義歯作製時には問題となり、補綴前処置(ほてつぜんしょち)として外科的切除が行われます。歯周病の原因にもなります。高齢になってからの手術を考えるより、早めに手術を受けたほうがよいでしょう。
治療の方法
両者とも症状がある場合や、義歯製作上、障害があれば外科的に切除します。
口・あごの病気を読んだ人によく読まれている記事
口・あごの病気でよく読まれている解説
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。