病気事典[家庭の医学]
ぜつえん
舌炎<口・あごの病気>
舌炎<口・あごの病気>について解説します。
執筆者:
東京歯科大学オーラルメディシン・口腔外科学講座教授 山根源之
原因と症状の現れ方
局所的原因によるものと、全身的疾患に伴う口腔症状のひとつとして発現するものがあります。
(1)局所的原因
咬耗(こうもう)(すりへる)や破折で生じた歯や歯科補綴物(ほてつぶつ)のとがった部分に舌粘膜が接触した場合や、熱い食べ物でのやけどによる外傷性の炎症です。これらの刺激を受けた直後は舌粘膜は赤くなり、灼熱感(しゃくねつかん)やぴりぴりした痛みが発現しますが、刺激が続くとびらんや潰瘍に移行し、二次感染を起こします。
また、食べ物やその他の原因で、舌粘膜の損傷した部位に細菌が感染し、舌膿瘍(ぜつのうよう)(化膿性炎症)を発症することがあります。アフタ(浅い潰瘍)も舌に発現し、同時にできた数個のアフタが癒合(ゆごう)して大きな病変になると、周囲にも炎症症状を伴いアフタ性口内炎となります。この場合は痛みが著しくなります。
(2)全身的疾患に伴う舌炎
ウイルス性疾患、悪性貧血(巨赤芽球性(きょせきがきゅうせい)貧血)、鉄欠乏性貧血などがあります。
ヘルペスウイルスやエイズウイルスの感染で口腔粘膜全体に炎症が起こり、舌にも発症します。二次感染が起こると、さらに複雑な炎症像を示すことになります。
ビタミン
鉄欠乏性貧血でも、プランマー・ビンソン症候群として悪性貧血と同様な舌病変がみられます。
そのほか、剥離(はくり)性舌炎がありますが、これは症状名であり疾患名ではありません。天疱瘡(てんぽうそう)や類天疱瘡(るいてんぽうそう)の症状のひとつとして現れます。
治療の方法
局所的原因のものは原因除去と対症療法が主となり、全身的疾患のものは対症療法に加えて、元になっている疾患の治療が必要です。
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情報提供元 :
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