病気事典[家庭の医学]
ねんえきのうほう
粘液嚢胞
粘液嚢胞について解説します。
執筆者:
佐賀大学医学部歯科口腔外科学教授
後藤昌昭
朝日大学歯学部口腔病態医療学講座口腔外科学分野教授
式守道夫
どんな病気か
唇や舌、頬の粘膜の下には、唾液を分泌するたくさんの小唾液腺(しょうだえきせん)があります。米粒くらいの大きさですが、口のなかの粘膜をいつも湿らせておく役目があります。粘液嚢胞はこの小唾液腺からの分泌がうまく行われずに、周囲の組織中に唾液がたまって生じる嚢胞です(図12)。
原因としては、粘膜を噛(か)んだり、歯の先端が当たることを繰り返しているうちに生じると考えられます。
症状の現れ方
粘液嚢胞は下唇に生じることが最も多く、直径5~15㎜の丸くて軟らかい腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)です。嚢胞のなかには唾液がたまっており、淡黄色の澄んだ粘稠(ねんちゅう)な(粘りけのある)液体です。嚢胞は大きくなると青紫色になり、血管も透けて見えるようになります。
自覚症状は、何となくはれている感じがするだけです。噛んだり針を刺してたまった唾液が流れ出すと、はれは消えますが、数日で再びはれてきます。
治療の方法
局所麻酔をして、嚢胞だけでなく原因になった小唾液腺も切除します。凍結外科やレーザーメスを使った方法もあるので、担当の医師とよく話し合ってください。
口・あごの病気を読んだ人によく読まれている記事
口・あごの病気でよく読まれている解説
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
|
執筆者一覧
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。