病気事典[家庭の医学]
こうくうかんそうしょう(どらいまうす)
口腔乾燥症(ドライマウス)
口腔乾燥症(ドライマウス)について解説します。
執筆者:
鶴見大学歯学部附属病院病院長・教授
斎藤一郎
原因は何か
自己免疫疾患であるシェーグレン症候群の口腔症状としてよく知られていますが、本症の多くは、薬剤の副作用、糖尿病や更年期障害、腎不全、口腔周囲の筋力の低下、ストレスなど複合的な要因で発症しています。
症状の現れ方
クッキーやクラッカーなど水分の少ない食品が飲み込めないなどの嚥下(えんげ)障害、味覚障害、口のなかがねばねばする、唇・舌・口のなかの粘膜の乾燥や夜間の乾燥感といった症状が現れます。さらに、義歯(ぎし)の不適合、装着時の疼痛(とうつう)、カンジダ菌の増殖による舌痛(ぜっつう)や口角炎(こうかくえん)も認められます。う蝕(しょく)(むし歯)の多発、舌苔(ぜったい)の肥厚、口内炎や口臭が生じます。
検査と診断
安静時唾液分泌量(基準値1・5ml/15分)、刺激時唾液分泌量(基準値10ml/10分)、サクソンテスト(ガーゼを噛んで唾液分泌量を測る:基準値2g/2分)を測定し、分泌量が基準値以下の場合は口腔乾燥症と診断します。
治療の方法
原因により対処は異なりますので、原因を明らかにします。シェーグレン症候群では、唾液分泌促進薬や漢方薬の処方が可能です。
対症療法としては、人工唾液、口腔保湿・湿潤剤(しつじゅんざい)などにより口腔内の保湿を心がけることが大切です。歯科医院で作成可能な保湿装置(モイスチャープレートなど)は、唾液の蒸発を防ぎ、夜間の乾燥感に有効です。口腔筋機能療法は、筋力を強化させ唾液分泌を促進させる効果が期待できます。
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情報提供元 :
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