病気事典[家庭の医学]
えんし
遠視
遠視について解説します。
執筆者:
伊丹中央眼科院長
二宮さゆり
どんな病気か
眼に入ってきた光は角膜(かくまく)・水晶体(すいしょうたい)を通過し、網膜(もうまく)に到達します。正視ではちょうど網膜上でピントが合っていますが、遠視では眼の奥行きの長さ(眼軸(がんじく))が短いことが多いため、網膜よりも後ろにピントが合う状態になります(図72)。
遠視は「遠くが見えるよい眼」と勘違いされがちですが、眼の屈折状態としては、本当は遠くにも近くにもピントが合っていません。しかし、眼には水晶体というレンズのはたらきをする部分の厚みを増して像の結ばれる位置をずらす「調節」という機能があるので、若い頃は遠くも近くも見ることができます(図73)。
ただ、「調節」の機能は年齢とともに衰えてくるため、徐々にピントを合わせることができなくなり、より「調節」を要する近くから見えにくくなっていきます。遠視の人は正視の人や近視の人よりも多くの調節力がいるので、「若いころは眼がよかったから、早く老眼になった」とよくいわれているのはこのためです。
遠視のおおよその頻度は、新生児100%、幼児60~70%、小学生50%、中学生20%、高校生15%で漸次減少します。老人では水晶体の加齢変化により、再び遠視化したり、近視化することもあります。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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