病気事典[家庭の医学]
すいほうせいかくまくしょう
水疱性角膜症
水疱性角膜症について解説します。
執筆者:
鳥取大学医学部視覚病態学教授 井上幸次
原因は何か
角膜の内側に並んでいる内皮細胞の数が減って、角膜に入ってくる眼内の水(房水(ぼうすい))を眼内へもどすポンプのはたらきが低下するのが原因です。角膜の内皮細胞は、生まれてから死ぬまで増えることはないので、遺伝的に内皮細胞が弱かったり(フックス角膜内皮ジストロフィなど)、外的な原因で内皮細胞が障害されたり(外傷、角膜感染、白内障(はくないしょう)手術、緑内障(りょくないしょう)に対するレーザー治療など)した結果生じます。
検査と診断
角膜内皮細胞はそのまま拡大写真が撮影でき、細胞の密度を算定することができます。それによって内皮細胞が少なく、水疱性角膜症になりやすいかどうかを判定します。ただ、水疱性角膜症になってしまうと内皮細胞は撮影できなくなります。
治療の方法
非常に初期には、濃度の濃い生理食塩水の点眼や眼軟膏(がんなんこう)で角膜中の水分を吸い取ることによって、少し視力がよくなりますが、根本的な治療としては、どうしても角膜移植が必要になります。最近は角膜の内皮側だけを入れかえる方法も行われるようになっています。
関連項目
角膜の構造と透明な理由(コラム)、角膜ジストロフィ
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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