病気事典[家庭の医学]
きんきんちょうしょう(せんてんせいきんきょうちょくしょう)
筋緊張症(先天性筋強直症)
筋緊張症(先天性筋強直症)について解説します。
執筆者:
兵庫県立身体障害者更生相談所参事
藤井正司
どんな病気か
筋強直を来す遺伝性の病気です。筋萎縮(いしゅく)は伴いません。筋強直とは筋肉の収縮が過度に持続し、円滑(えんかつ)に弛緩(しかん)しない状態をいいます。
原因は何か
骨格筋クロルチャネル遺伝子(CLCN1)の異常による遺伝子の病気です。常染色体優生遺伝の場合はトムゼン病、常染色体劣性遺伝の場合はベッカー病に分類します。
症状の現れ方
乳児期から筋肉が強直しているため、まぶたが開きにくい、握った手がすぐに開けられないことで気づきます。筋強直は、全身とくに四肢、体幹筋に広範に認められます。筋強直の強いものでは筋肥大が認められ、ヘラクレス型体型と形容されますが、筋力は強くありません。
筋力低下は通常みられず、骨格筋を叩打(こうだ)(筋肉を叩く)すると強直が誘発され、また精神的緊張で増悪します。
ベッカー型のほうが症状はやや強く、20代に最も重くなります。筋弛緩後の随意収縮で筋強直が生じやすく、3~4回収縮させると筋強直は軽快し、ごく短時間しか筋力低下は生じません。
検査と診断
臨床的には乳児期から筋強直があり、筋萎縮や筋強直性ジストロフィー症における多系統臓器障害(白内障、糖尿病、心伝導障害など)の合併症がないことで「先天性筋強直症(せんてんせいきんきょうちょくしょう)」を疑います。筋電図で特徴的なミオトニー放電や急降下爆撃音に似た音がすることから筋強直を確認します。
遺伝子検査でCLCN1遺伝子の変異を確認し、診断を確定します。
筋緊張を来す疾患として、筋萎縮を伴う筋強直性ジストロフィー症、筋強直が寒冷で増悪し、弛緩性四肢麻痺のエピソードがある先天性パラミオトニー、神経原性に生じるシュワルツ・ヤンベル症候群を鑑別する必要があります。
病気に気づいたらどうする
神経、筋を専門とする医療機関を受診してください。
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