病気事典[家庭の医学]

ういるすせいずいまくえん

ウイルス性髄膜炎

ウイルス性髄膜炎について解説します。

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どんな病気か

春から夏にかけてはエンテロウイルス、ムンプスなどによるウイルス性髄膜炎が多くみられます。通常特別な治療を必要としません。無菌性髄膜炎は本症と同義的に用いられていますが、無菌性(むきんせい)髄膜炎にはウイルス以外に、造影剤の髄腔内注射などによる髄膜炎が含まれます。

原因は何か

小児によく起こります。エンテロウイルス(エコー、コクサッキー)が主な病因ウイルスです。

症状の現れ方

発熱、頭痛をもって急性に発病し、項部(こうぶ)(うなじ)硬直、髄液でのリンパ球を主体とした細胞増加を認め(図16‐b)、一般的に良好な経過をたどります。項部硬直などの髄膜刺激症状が認められない場合もあります。

発疹などの随伴症状は、エコーウイルス、手足口病(エンテロ71)、風疹(ふうしん)、麻疹(ましん)、単純ヘルペス水痘(すいとう)・帯状疱疹などでみられます。普通、皮膚症状の発症から1週間以内に、頭痛、吐き気などの髄膜刺激症状が現れます。

検査と診断

白血球数は一般的に減少傾向で、赤沈は亢進します。髄液所見は、圧の軽度上昇、約300/mm3程度の細胞増加、蛋白は軽度の増加、糖は正常となるのが特徴的です。急性期の髄液からのPCR法による各種ウイルスゲノム(遺伝子)の検出が一般化しています。併せて、抗体価検査を行う必要があります。

髄液所見、流行性の有無などを参考にし、髄液からのウイルス分離、PCR陽性、あるいは抗体価の上昇があれば病因診断を確定できます。急性期の検体からの陽性率が高いとされています。

治療の方法

発熱、頭痛などに対する対症療法が主体です。抗ウイルス薬の投与は、単純ヘルペス1、2型、水痘・帯状疱疹ウイルスによる髄膜炎に対し、アシクロビルの点滴投与を行います。一般的に良好な経過を示します。

病気に気づいたらどうする

発熱、頭痛をもって急性に発病した場合は、本症の疑いがあります。神経内科、内科、小児科の医師に相談します。

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