病気事典[家庭の医学]

こうれいしゃのけっかくのとくちょう

高齢者の結核の特徴

高齢者の結核の特徴について解説します。

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高齢者の結核の特徴の解説(コラム)

 日本はかつてない高齢社会になりましたが、これらの高齢者は結核蔓延(まんえん)の時代に生き残ってきた人々で、その約半数は結核既感染者と考えられます。加齢とさまざまな生活習慣病発症に伴う免疫力の低下が、封じ込めていた結核菌(休止菌)を再燃させます。

 高齢者は発病しても発熱、寝汗、喀血(かっけつ)などの症状は少なく、ツベルクリン反応も陰性が多く、胸部X線写真では典型的な空洞性病変が少なく、肺下部(下肺野)にも肺炎に似た陰影が認められる非典型的なX線像を示す、などの特徴があります。

 このような高齢者の結核は早期発見が難しいため、その間に家族や友人など身近な人が感染します。また、結核と診断されるまでほかの病気と間違われ、一般病棟に入院することで医療従事者を含むまわりの人々が感染します。

 人々に感染させる喀痰塗抹陽性者(かくたんとまつようせいしゃ)(咳で飛散するしぶきに無数の結核菌が存在する人)に占める高齢者の割合は3分の1以上になっています。高齢者は結核の再発例が多いとされてきましたが、他の人々からの再感染者もかなりいることもわかってきました。

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