病気事典[家庭の医学]

しんぞうさいどうきりょうほう

心臓再同期療法

心臓再同期療法について解説します。

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治療法の概要

 心臓再同期療法は心不全に対するペースメーカー治療です。呼吸困難や浮腫(ふしゅ)(むくみ)が生じる心不全では、心室(とくに左心室)の壁の動きが減弱していますが、さらに心室壁の動きのタイミングが大きくずれていることがあります。これを心室非同期といいます。心臓再同期療法はこのように動きのタイミングのずれている心室の2カ所を同時にペーシングすることによって、心臓を効率よく働かせる治療法です。

 薬物内服によってもよくならない中等度から重度の心不全で、心電図検査や心エコー(超音波)で心室非同期が認められる患者さんのみがこの治療法の対象になります。このような患者さんには重症の心室不整脈(心室頻拍や心室細動)もあることが多いので、除細動機能が付いている機種もあります。

装置による治療の方法

 通常のペースメーカーや植込型除細動器と同様に、前胸部の皮下に本体を植え込みます。心室用のリード線は、通常の右心室内と左心室の外側にある冠状静脈洞のなかに留置します(図25)。この2カ所から同時に電気刺激を送ることによって、心室壁の動きを同期化させます。

 心臓再同期療法の問題点として、冠静脈洞内の理想的な場所にリード線を留置できない場合があることと、思ったほど効果が得られない場合があることです。再同期療法で効果が得られない患者さんは約20〜30%といわれています。このような心臓再同期療法の効果のいかんにかかわらず、内服薬の服用は続けなければなりません。また、心不全の原因となる心臓病の治療ももちろん必要です。

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