病気事典[家庭の医学]

せんてんせいしんしっかんのひんど

先天性心疾患の頻度

先天性心疾患の頻度について解説します。

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先天性心疾患の頻度の解説(コラム)

 先天性心疾患の発生する頻度は、どの時代でも世界的にほぼ一定していて、人種的および時代的に大きな差は認められないといわれてきました。

 発生の頻度は新生児1000人に対して7〜8人、軽い疾患まで加えても1000人に10人(1%)前後となっています。例外的に人種的な偏りがある疾患もあり、心室中隔欠損(しんしつちゅうかくけっそん)のなかのあるタイプは東洋人での発生頻度が高いことがわかっています。

 疾患別にいちばん多いのは心室中隔欠損症(約15%)で、以下心房(しんぼう)中隔欠損症(約7%)、ファロー四徴症(しちょうしょう)(約7%)、肺動脈狭窄(きょうさく)(約7%)、大動脈狭窄(約6%)、動脈管開存(どうみゃくかんかいぞん)(約5%)、大血管転位症(だいけっかんてんいしょう)(約5%)、心内膜床欠損(しんないまくしょうけっそん)(約5%)、大動脈縮窄(約5%)、僧帽弁(そうぼうべん)疾患(約5%)、原発性心筋疾患(げんぱつせいしんきんしっかん)(約3%)、その他(約30%)と続いています。その他のなかには、左心低形成症候群(さしんていけいせいしょうこうぐん)、大動脈や肺動脈などの大血管の起始(きし)異常、三尖弁閉鎖(さんせんべんへいさ)などの疾患が含まれています。

 心室中隔欠損のなかには自然に閉じる例もありますし、心房中隔欠損でも小さい欠損孔は2歳までに自然に閉じるものもあります。また、極めて重症の先天性心疾患の患者さんは、生後数日で死亡してしまうこともありますし、生後1年未満で死亡することもあります。以前は生まれて数日で死亡する疾患であったのが、外科治療の進歩に伴い、生存できるようになった疾患もあります。

 したがって、病気別に頻度を調べる時期が、出生時に調べたのか、生後1カ月で調べたのか、あるいは生後1年で調べたのかによって当然異なってきます。その意味ですべての頻度は、おおよそ何%という表現をしましたが、おおむねは変わらないと思ってよいでしょう。

 心室中隔欠損についてはもっと頻度が高く、約30%とする統計も多くみられ、1986年に日本で新生児期に限って行われた調査では、心室中隔欠損の頻度は全部の先天性心疾患の56%を占めていました。その後、自然に閉じる例があって頻度が減少するものと考えられています。

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