病気事典[家庭の医学]

じんこうべん

人工弁

人工弁について解説します。

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人工弁の解説(コラム)

 心臓は4つの部屋(左右の心房、心室)に分かれていますが、これらの間で血液が混ざらず、心臓が効率よくポンプとしての機能を果たすようにしているのが弁です。部屋についている仕切りのドアのようなものと思ってください。

 これが炎症や老化などで本来の弁膜の機能が損なわれたために心臓で血液循環の悪化が認められた場合、壊れたドアの代わりに手術で取り付けてはたらいてくれる機械が人工弁です。

 機械といっても動力は自分の血流であり、心臓の収縮・拡張に合わせて開閉します。大きく分けて生物の組織(ウシ・ブタの心膜)を使った生体弁とステンレスなどを用いた機械弁があります。

 人工弁は体にとっては異物なので、そのままでは自分の血液によって固まってしまい、動かなくなってしまいます。したがって血を固まりにくくする薬(ワルファリンなど)を生涯にわたってのみ続ける必要があります。

 これに対して、生体弁は生物の組織なのでワルファリンをのまなくても大丈夫です。このため妊娠・出産を希望する若年の女性や、出血の危険の多いお年寄りなどの手術には生体弁が用いられます。

 ただし、生体弁は平均10年で劣化し、再手術を必要とする欠点があります。一方、機械弁では平均20年は交換の必要がありません。どちらも感染に弱いという宿命があり、注意が必要です。

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