病気事典[家庭の医学]
しんしつちゅうかくけっそんしょう
心室中隔欠損症
心室中隔欠損症について解説します。
執筆者:
さとみクリニック院長
里見元義
どんな病気か
心臓には右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋がありますが、そのうち右心室と左心室の間を隔てる壁つまり心室中隔に孔(あな)があいた病気を心室中隔欠損症と呼びます(図15)。
症状の現れ方
孔の大きさによって、大まかに3つの種類に分けることができます。
1つ目は、小さい孔の場合ですが、これは無症状であるため手術をしなくても生活の不自由はまったくありません。孔の大きさは一生を通じて小さくなる傾向にあり、とくに2歳までに自然閉鎖することも比較的高率に期待できます。ただし、無症状とはいっても、細菌性心内膜炎(さいきんせいしんないまくえん)の有力な危険因子です。細菌性心内膜炎を起こした場合には高熱、倦怠感(けんたいかん)という症状が現れます。抜歯の際にはその危険性が高まるので、抜歯の1時間前と6時間後に抗生物質を服用して細菌性心内膜炎を予防するようにしなければなりません。
2つ目は、中等度以上の大きさの孔がある心室中隔欠損症の場合で、生後1カ月ころからミルクの飲み方が悪くなったり、体重が増えなくなったり、呼吸が速く寝汗をかいたり、しばしば気管支炎(きかんしえん)や肺炎(はいえん)を繰り返すといった症状が現れます。そのため手術で孔を閉鎖する必要があります。
3つ目は、心室中隔欠損症だけではなく他の種類の心疾患と合併して現れている場合です。この場合にも一般に他の心疾患と一緒に手術で閉鎖することが必要です。
検査と診断
通常は心臓の雑音(心雑音)で発見されます。時には、母親が赤ちゃんの胸でザーザーという振動を感じるということから健診で発見されることもあります。胸部X線、心電図や心エコー検査を用いて診断を確定することができます。
病気に気づいたらどうする
信頼できる循環器の専門医に相談してください。
また、手術は必要ないが経過をみましょうといわれている場合や、本症で手術を行った人は、前に述べた細菌性心内膜炎の予防を励行してください。
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