病気事典[家庭の医学]

しんぞうかくいがくけんさ(しんきんしんちぐらふぃ)

心臓核医学検査(心筋シンチグラフィ)

心臓核医学検査(心筋シンチグラフィ)について解説します。

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心臓核医学検査(心筋シンチグラフィ)の解説(コラム)

 心臓核医学検査とは、放射性同位元素(ラジオアイソトープ)すなわち核種(かくしゅ)から出るγ(ガンマ)線を利用して、心疾患の病態の解明や心機能の評価を行うものです。従来から使用されている核種はタリウムで、狭心症や心筋梗塞の診断、また心筋が生きているのか死んでいるのか(バイアビリティ)の評価に使用されます。

 タリウムは十分な血流がある場合には心筋への取り込み率が高く、冠動脈の狭窄(きょうさく)病変によって血流量が低下した場合にタリウムの心筋への取り込みが低下し、灌流(かんりゅう)異常として描出されます。また、梗塞部位はタリウムの欠損として示されます。ただし、冠動脈の狭窄がある程度高度でなければ安静時には血流の低下は起こらないので、心電図と同じく負荷をかけて心筋の酸素需要を増やし、虚血が誘発されるかどうかを確認する必要があります。これを負荷タリウム心筋シンチグラフィといいます。

 安静時法では核種注射後に撮影する(シンチカメラで検出)だけですが、さらに、安静時2回法といってバイアビリティの確認のため3〜4時間後に後期像を撮影することもあります。

 負荷法として通常は自転車エルゴメーターを利用した運動負荷が行われますが、運動ができない高齢者などには薬剤負荷が使用されます。薬剤負荷にはジピリダモール、ATP、ドブミタンなどが使用されます。

 負荷終了1分前に核種を注射し、直後と3〜4時間後に撮影した後期像を比較して、虚血が誘発されているかどうかを検討します。負荷直後にタリウムが欠損している部位が、後期像で取り込まれている場合(再分布)には心筋虚血(しんきんきょけつ)と診断されます。また、負荷直後も後期像もタリウムが欠損したままであれば心筋は死んでおり、心筋梗塞と診断されます。運動負荷TI心筋シンチグラフィの冠動脈疾患の診断能力は感度90%、特異度70%とされており、負荷心電図より優れています。

 このほか、脂肪酸代謝イメージング製剤、心臓交感神経機能イメージングなどがありますが、いずれの核種も分解速度が速く、被曝など安全性の問題はありません。

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