病気事典[家庭の医学]
はくいこうけつあつとかめんこうけつあつ
白衣高血圧と仮面高血圧
白衣高血圧と仮面高血圧について解説します。
執筆者:
杏林大学医学部高齢医学講師 長谷川浩
東京大学大学院医学系研究科加齢医学准教授 秋下雅弘
白衣高血圧と仮面高血圧の解説(コラム)
白衣高血圧
医師の前では、精神的緊張のために血圧が上昇しがちです。このように、普段は正常血圧なのに診察室でだけ高血圧の基準を満たす状態を白衣高血圧と呼びます。携帯型24時間血圧計あるいは家庭血圧(コラム)の測定により白衣高血圧か本来の高血圧かが鑑別可能です。
白衣高血圧自体は病気というより一種の現象で、多くの場合は脳卒中(のうそっちゅう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)など高血圧性臓器障害にもつながりにくいとされています。したがって、高血圧を指摘された場合、とくに軽症の場合には、安易に降圧薬の服用を開始するのでなく、別の機会にも血圧を測定して白衣高血圧かどうかを確認することが必要です。
ただし、白衣高血圧の人は将来本当の高血圧になりやすいという研究もあり、減塩など生活習慣の見直しはするべきでしょう。また、普段の血圧も高く診察室ではさらに上昇する“白衣効果”がみられる高血圧の場合には、ストレスで血圧が上がりやすいことを意味し、心血管病に関係する現象として注意が必要です。
仮面高血圧
白衣高血圧とはまったく逆のパターンで、診察室での測定では正常なのに対し、早朝や夜間、ストレスがかかった時に血圧が上昇します。仮面高血圧は、代謝異常(肥満、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなど)を伴いやすく、心臓や頸動脈に高血圧性の臓器障害を発症している危険性があるとされています。正常血圧の人に比べ、心臓血管病の発症の危険性が2〜3倍あるといわれています。
仮面高血圧には、携帯型24時間血圧計あるいは家庭血圧の測定が非常に重要です。早朝高血圧や夜間高血圧は積極的に治療を行う対象となります。
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