病気事典[家庭の医学]
しんだんめいとぶんるいについて
診断名と分類について
診断名と分類についてについて解説します。
執筆者:
中部学院大学大学院人間福祉学研究科教授
吉川武彦
解説(概論)
この100年、精神医学も急速な発展を遂げました。かつては「精神病は脳病である」ととらえていましたが、とくにこの20年は「精神病はこころが病んでいる病気」と考え、こころへのはたらきかけで「病気」を治療しようという考えに変わってきています。
もちろん薬物療法も発展しましたが、単にその人にはたらきかけて、その人の心を変えようとする治療だけではなく、社会のありようを変えることからその人の地域生活支援を広げようとする社会復帰療法-リハビリテーション療法が広がっています。
診断についても今、大きく変わろうとしています。WHOの国際分類「ICD」とアメリカ精神医学会の「DSM」の分類が近づきつつあります。このほか、日本ではよく使われる診断があり、これを「従来診断」といいますが、精神科医によって使う診断分類が異なることもありますから注意を要します。
重要なことは、『こころの病気』をよく理解するにはこうした診断名にこだわることなく、「こころ」は「からだ」と「つながり」の影響を受けながら「病気」といわれる状態から「健康」といわれる状態の間を動くものだと考える必要があることです。診断名にこだわることなくその人が何に苦しみ、自分はどうしたいと考えているかを理解しながら悩み苦しむその人に接したいものです。
情報提供元 :
(C)株式会社 法研
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