病気事典[家庭の医学]
がいいんえんちりょうじのちゅういてん
外陰炎治療時の注意点
外陰炎治療時の注意点について解説します。
執筆者:
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科助教
織田克利
外陰炎治療時の注意点の解説(コラム)
外陰炎の治療で最も大切なのは、原因・誘引を除去することです。以前に同様の症状はなかったか、生理用品などの使用状況、薬剤の使用状況、全身的な症状の有無や精神的な不安・ストレスなど、なるべく自分なりに経過や症状を把握しておくようにします。
一度かかってしまうといったん軽快しても、再燃・再発してくる疾患が含まれていることも忘れてはなりません。また、原因が異なっても症状としては、かゆみ、発赤、帯下(たいげ)異常など共通している疾患が多いため、時に診断が難しく、また、治療のための薬剤によりかえって病状が悪化してしまい、難治性になることもあります。外陰炎は外陰皮膚の疾患でもあります。難治性の時など、婦人科だけでなく皮膚科で診察を受けるのもひとつの方法です。
外陰部に明らかな病変が認められないのに痛みを感じる場合が少なくないことから、近年、こうした痛みを、特発性外陰部痛(Vulvodynia)というひとつの疾患としてとらえる考え方が定着してきました。この疾患は、20〜50歳の女性に多く、外陰部の不快感や焼け付くような痛みとして自覚されます。性交時に痛みを伴うことも多くあります。痛みの部位は外陰部全体に及ぶ場合と一部に限局している場合があります。
治療法としては、特発性外陰部痛のすべてに有効なわけではありませんが、石鹸・香水など刺激のあるものを外陰部につけない、綿100%の下着を用いる、といった一般的なケアのほか、局所麻酔薬の塗布や性行為の際に潤滑剤を用いることなどがあげられます。
また、ストレスなど心理的な側面も関係するため、十分なカウンセリングや精神安定薬の内服が有効な場合もあります。
原因・病態がわからないことでさらに不安が増すことは好ましくありません。特発性外陰部痛はめずらしくないということを知っておくことが、精神的にも重要と思われます。
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