病気事典[家庭の医学]
ろうじんせい(いしゅくせい)がいいんえん
老人性(萎縮性)外陰炎
老人性(萎縮性)外陰炎について解説します。
執筆者:
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科助教
織田克利
どんな病気か
閉経後の人や高齢者において、女性ホルモン(卵巣ホルモン)が低下することにより、腟の自浄作用の低下、腟の粘膜や外陰部の皮膚の萎縮がみられるようになります。一般的には腟炎が病変の主体(老人性腟炎)であり、外陰部に単独で炎症がみられることはほとんどありません。
原因は何か
閉経後、エストロゲンという卵巣ホルモンの分泌が低下することにより、腟の粘膜は萎縮し、菲薄化(ひはくか)していきます。腟内の粘液が減ることにより、乾燥感が生じ、これがかゆみを誘発します。また、腟内の自浄作用に重要な常在菌(腟乳酸桿菌(かんきん):デーデルライン桿菌)が減ることにより、他の細菌感染が起こりやすくなることも、腟炎・外陰炎の原因になります。
検査と診断
内診により、外陰・腟粘膜の状態を観察します。症状や腟粘膜の出血斑などが参考になります。腟分泌物の細菌培養検査により、感染を伴った外陰・腟炎を区別することが可能です。また、腟の出血がある時などは、子宮がん検査(細胞診)も有用です。
治療の方法
エストロゲン製剤の内服(エストリール錠、プレマリン錠)、もしくは腟坐薬(ホーリン腟錠、エストリール腟錠)が有効です。5~7日間で多くは改善がみられます。外陰部の炎症に対しては、抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬の軟膏も用いられます。症状がない時には、薬剤を使用しないこともあります。
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情報提供元 :
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