病気事典[家庭の医学]

きゅうせいがいいんかいよう

急性外陰潰瘍

急性外陰潰瘍について解説します。

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どんな病気か

若い女性に多く、性交と関係なく痛みを伴う深くえぐれた潰瘍が、外陰に1個ないし数個できる病気です。外陰とは、性器の外側の部分(恥丘(ちきゅう)、大陰唇、小陰唇、陰核、外尿道口、腟前庭(ちつぜんてい)、会陰(えいん)など)の総称です。

原因は何か

明らかな原因はまだわかっていません。ウイルスや細菌による感染症ではないかと考えられたこともありましたが、現在は否定的で、自己免疫疾患ではないかと考えられています。

症状の現れ方

主に外陰部に痛みを伴う潰瘍ができ、多くは発熱を伴います。潰瘍は小陰唇や会陰に発生することが多いのですが、腟のなかや子宮頸部(けいぶ)にできることもあります。

潰瘍は、瘢痕(はんこん)(傷あと)を残して2~4週間で自然に治りますが、とくに月経時などに再発を繰り返し、慢性に経過することがあります。口腔内の潰瘍(アフタ性病変)を伴うこともよくあります。そのため、この病気はベーチェット病外陰潰瘍と口腔粘膜アフタ、虹彩炎(こうさいえん)がそろったもの)の不全型とも考えられています。

検査と診断

血液検査では、白血球増加やCRP陽性などの炎症反応が現れることが多く、深い潰瘍が明らかな癒合(ゆごう)傾向がなく存在することで診断されます。

性器ヘルペス症でも外陰部に潰瘍ができますが、これは潰瘍が浅く、水疱(すいほう)をつくることなどから区別できます。肉眼的にがんが疑われる場合は、細胞や組織の検査を行って区別します。

治療の方法

潰瘍部分に細菌による感染が起こらないように、抗生剤が含まれた軟膏や、さらにステロイドを含有する軟膏を用います。

痛みなどの症状を和らげるには、非ステロイド性抗炎症薬の内服が有効です。副腎皮質ステロイド薬の内服も、とくに症状が強い時などに有効です。

病気に気づいたらどうする

痛みを伴う外陰の潰瘍に気づいた場合は、潰瘍部分に細菌感染が起こらないように局所を清潔に保ち、婦人科または皮膚科を受診してください。

ベーチェット病の場合もあるので、眼科の受診をすすめられる場合もあります。

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