病気事典[家庭の医学]

どうきがする、みゃくがとぶ

動悸がする、脈が飛ぶ

動悸がする、脈が飛ぶについて解説します。

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どのような症状か

心臓は1分間におよそ50~100前後の脈を打ちます。自分で手首の親指の付け根に触れれば、脈拍を感じることが可能でしょう。動いた後は多少脈拍が多くなり、動悸として感じられるかもしれません。それが一定の間隔で1分間に120程度以下であり、安静とともに脈拍数が下がっていけば問題ありません。

ただ、突然起こる1分間に120~130以上の脈拍は不整脈(ふせいみゃく)であることが多く、心電図をとる必要があります。さらに、一定の間隔で打たない場合は、心房細動(しんぼうさいどう)という不整脈で脳梗塞(のうこうそく)を起こすことがあり、すぐに治療が必要です。できるだけ早く病院へ行き、心電図をとってもらってください。また、動悸とともにめまいがしたり、立っていられなくなったりする場合も、心電図やホルター心電図(心電図を24時間記録する装置)で検査することをすすめます。

一方、脈拍がいつも50以下の場合(徐脈(じょみゃく))も注意が必要です。とくに、意識消失の発作やめまい感、息切れを伴う場合は、心臓ペースメーカーの対象になる場合もあります。早期に心電図をとってください。

脈が飛ぶ場合、数回に1回脈が抜けるという場合はあまりあわてなくてもかまいません。多くが心房性期外収縮(しんぼうせいきがいしゅうしゅく)や心室性(しんしつせい)期外収縮というもので、早急な治療は必要ありません。

必要な検査と疑われる病気

不整脈の診断には、心電図やホルター心電図が必要です。とくに、ホルター心電図は24時間にわたって記録することが可能で、患者さんが気づかなかった不整脈も診断できます。

心房性期外収縮や心室性期外収縮は比較的良性の不整脈ですが、発作性心房細動(ほっさせいしんぼうさいどう)心室頻拍(しんしつひんぱく)では治療が必要になります。心室頻拍は、基礎に虚血性(きょけつせい)心疾患(心筋梗塞(しんきんこうそく)など)や心筋症(しんきんしょう)などの心臓疾患があることが多く、別の症状で医師にかかっていることも多いでしょうが、心房細動は高齢者では10%以上の罹患率があり、見落とすと脳梗塞に発展することがあるので注意が必要です。

また、徐脈の場合は房室(ぼうしつ)ブロック洞不全(どうふぜん)症候群の可能性があります。失神症状を伴う場合は、緊急に心臓ペースメーカーによる治療が必要です。

家庭での対処のしかた

動悸にめまいや失神を伴う場合は、頻脈(ひんみゃく)であれ徐脈であれ、すぐに循環器科を受診してください。

動悸以外の症状がない場合は、まず1分間の正確な脈拍数や、脈拍の抜け具合を観察してください。これらの情報は不整脈を診断する際に非常に参考になります。1分間の脈拍数が明らかに140を超える場合は、できるだけ早く医療機関(内科、循環器内科)を受診してください。

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