病気事典[家庭の医学]
はがぐらぐらする
歯がぐらぐらする
歯がぐらぐらするについて解説します。
執筆者:
東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長
山口雅庸
どのような状態か
歯は、歯槽骨(しそうこつ)という歯根(しこん)周囲の骨と、歯根膜という線維によって支えられています。これらの支持組織が破壊吸収されると歯がぐらぐらします。
少しずつ支持組織が破壊吸収されて歯がぐらぐらする原因には、炎症、外傷、腫瘍などがあります。突然、歯がぐらぐらするものとして、歯槽骨の骨折および歯の脱臼(歯と骨を結ぶ歯根膜(しこんまく)が断裂)があります。
必要な検査と疑われる病気
歯がぐらぐらする原因には次のものがあります。
(1)炎症
代表的なものに歯周炎(ししゅうえん)があります。歯垢(しこう)や歯周病の検査を行います。
(2)外傷性咬合(がいしょうせいこうごう)
特定の歯に強い負担をかけ、日常的に歯の周囲にある歯槽骨を少しずつ破壊させる不良な噛み合わせがあると、歯がぐらぐらします。義歯(ぎし)を支える鉤歯(こうし)(義歯の金具がかかる歯)、噛み合わせ不良など、特定の歯に負担がかかる場合に発症します。歯科で噛み合わせの診査を行います。必要に応じて歯槽骨のX線検査を行います。
(3)歯の喪失
歯が抜けたところを長期に放置すると、対合する歯が本来の位置より伸びるため、歯根周囲の骨量が少なくなり、ぐらぐらします。必要に応じて歯槽骨のX線検査を行います。
(4)外傷
打撲などで歯が折れたり、歯槽骨の骨折、歯牙脱臼(しがだっきゅう)が起きれば歯がぐらぐらします。患者さんが打撲したと話す場合は、ぐらぐらする原因の判定は容易です。必要に応じてX線検査を行います。
(5)腫瘍(しゅよう)
腫瘍は歯肉などの原発部位だけではなく、周囲の骨などの組織も少しずつ破壊し、歯がぐらぐらするなどの症状を起こします。必要に応じて腫瘍マーカー(腫瘍発症の目安となる血液検査)の検査を行います。支持組織の破壊吸収を調べるためにX線、CT、MRIなどの検査を行います。細胞の形の変化をみるために細胞診検査や、正確な診断のために組織の一部をとって顕微鏡で観察、精密検査を行う生検を行います。
受診について
症状があれば早期に歯科を受診することをすすめます。
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