病気事典[家庭の医学]

けつゆうびょうせいかんせつしょう

血友病性関節症

血友病性関節症について解説します。

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どんな病気か

血友病は、血液凝固能の低下により、身体各部に出血を生じやすい遺伝病です。血友病A血友病Bとがあり、両者を併せ、日本では出生男子10万人あたり12人の頻度でみられます。女子には極めてまれな病気です。

血友病では、関節内に出血を繰り返しやすい特徴があり、とくに幼児期、学童期に多くみられます。最も多いのは足、膝、肘関節、次に多いのは股、肩関節です。出血を繰り返すうちに、しばしば関節の変形と機能障害が進行します。

原因は何か

血友病Aは血液凝固第Ⅷ因子、血友病Bは第Ⅸ因子の欠乏に起因します。X連鎖劣性(れんされっせい)遺伝のため、患者の大多数は男性です。

症状の現れ方

初期には、関節の疼痛、腫脹(しゅちょう)、熱感などがあっても、凝固因子を静脈注射すると、出血はすぐに止まります。しかし出血を繰り返すうちに関節滑膜(かつまく)が肥厚・増殖し、軽微な外傷でも出血を生じやすくなります。さらに進行すると関節軟骨が破壊され、関節の変形・拘縮(こうしゅく)から、時には強直(きょうちょく)にまで至ります。

検査と診断

関節症の診断は、診察(関節の可動域など)とX線検査が基本ですが、MRIや超音波検査を行うこともあります。

治療の方法

治療の基本は、関節内出血の早期に凝固因子を静脈注射により補充することです。出血の頻度を減らすため、予防的に凝固因子を補充したり、装具を装用する方法もあります。滑膜の増殖期に滑膜切除術、末期の関節症に対し人工関節置換術(ちかんじゅつ)などの手術が行われることもあります。ヒアルロン酸の関節内注入も有効とされています。

病気に気づいたらどうする

関節内出血の際、患部を安静に保つ、冷やす、圧迫する(弾性包帯などで)、挙上する(心臓より高く)処置が大切です。

関連項目

血友病

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