病気事典[家庭の医学]

かせいはんいんよう

仮性半陰陽

仮性半陰陽について解説します。

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どんな病気か

真性(しんせい)半陰陽に対して用いられる病名で、真性半陰陽が精巣(せいそう)(睾丸(こうがん))と卵巣の両者をもつのに対して、仮性半陰陽では性腺は男女いずれか一方のみしかありませんが、外性器の形が染色体による性別と逆になっているものです。

(1)男性仮性半陰陽

染色体が男性で、外性器が女性を示すものです。

(2)女性仮性半陰陽

染色体が女性で、外性器が男性を示すものです。

原因は何か

男性仮性半陰陽は胎児に男性ホルモンが作用しなかったり、男性を決定づける遺伝子が作用しなかったりして起こります。男性ホルモン合成障害を来す病気や男性ホルモンを活性化する酵素の欠損症などが原因になります。

女性仮性半陰陽は胎児の早い時期(妊娠12週くらいまで)に大量の男性ホルモンが作用して起こると考えられ、多くは副腎皮質ホルモンをつくる酵素に異常のある先天性副腎過形成症(ふくじんかけいせいしょう)が原因です。

症状の現れ方

男性仮性半陰陽では陰茎(いんけい)(おちんちん)が小さく、また停留精巣(ていりゅうせいそう)を合併していることが多いので、陰嚢(いんのう)に精巣が触れません。したがって女性の外陰部のように見えます。鼠径(そけい)ヘルニアの合併も多い傾向にあります。女性仮性半陰陽ではあたかも陰茎があるかのように見えます。

検査と診断

新生児の時の診察で外陰部の異常が認められたら、染色体分析検査、性ホルモンの測定、副腎皮質ホルモンの測定や超音波検査、X線造影検査、CTやMRI検査による男性性器、女性性器の存在確認を行います。

治療の方法

原因として多い先天性副腎過形成症の場合には、内服薬によって不足しているホルモンを補充します。また、外陰部の外観によっては性器の形成術(たとえば女性仮性半陰陽なら腟形成術)を行います。

病気に気づいたらどうする

多くは新生児期に医師や看護師によって発見されますが、もしも軽症で発見されなかった場合や、外陰部の外観が異常(男児でおちんちんが小さい、女児でおちんちんがあるようにみえる、など)や女児で二次性徴がなかなかみられないといった場合には、すぐに小児科医に相談してください。

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