トピックス
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは
最終更新日:2019/09/19
2017年1月から、医療費控除制度の特例として新たな制度が施行されます。この「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」とは、どのような制度でどのような人に使えるのでしょうか。
税控除を受けるには
税控除を受けるまでの、制度の詳細をみていきましょう。
医療費控除制度とは
医療費控除制度は従来からあり、その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができるものです。
ただし医療費控除の金額は、支払った医療費の合計額が、保険金などで補填される金額を差し引き後、10万円を超える場合に適用され、これに該当しないケースも多くありました。
新しい制度のポイントは?
今回の特例では、対象となるOTC医薬品の年間購入額が1万2千円を超えるとき、その超える部分の金額について、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の適用を受けられます。(超える部分の金額が8万8千円を超える場合には、8万8千円)
これまで医療費の合計が10万円を超えることがなかった人でも、対象となるケースが多く出てくるのではないでしょうか。
注意点
従来の医療費控除制度とセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)を同時に利用することはできません。
従来どおり、1年間に自己負担した医療費で10万円を超えた部分の金額の控除を受けるか、この「セルフメディケーション税制」で控除を受けるかは、対象者自身が選択することになります。
確定申告について
この特例は、2017年分の確定申告から適用できます。
申告予定者は、1日1日から12月31日の1年間で、対象となるOTC医薬品の購入合計金額をレシート(領収書)で確認することになりますので、OTC医薬品を購入した場合のレシート(領収書)は、きちんと保管しておくようにしましょう。
証明書類(レシート等)の記載事項について
対象のOTC医薬品を購入した際には、レシート(領収書)にセルフメディケーション税制対象商品であることが表記されます。
確定申告の際の証明書類であるレシート(領収書)には
- ①商品名
- ②金額
- ③当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨
- ④販売店名
- ⑤購入日
が明記されていることが必要です。
①~⑤の事項が明記されているのであれば、キャッシュレジスターが発行するレシートであるか、手書きの領収書であるか等を問いません。
キャッシュレジスターが発行するレシートで対応する場合は、③当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨については、以下のどちらかの方法で記載されます。
- 商品名の前にマーク(例えば「★」)を付すとともに、当該マークが付いている商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨(例えば 「★印はセルフメディケーション税制対象商品」)をレシートに記載
- 対象商品のみの合計額を分けて記載
[ 出典 ※2 ]
控除額の試算例
課税所得400万円の人が、対象医薬品を年間2万円購入した場合(生計を一にする配偶者その他の親族の分も含む)を例にみてみましょう。
課税所得からの控除額
2万円(対象医薬品の購入金額)
- 1万2千円(下限額)= 8千円
8千円が課税所得から控除されます。
減税額
所得税:1,600円の減税効果
8千円(控除額)× 20%(所得税率)
= 1,600円
個人住民税:800円の減税効果
8千円(控除額)× 10%(個人住民税率)
= 800円
あわせて2,400円の減税効果になります。
[ 出典 ※3 ]
セルフメディケーション税制Q&A
セルフメディケーション税制について、気になる点をまとめました。
Q 同一世帯の中に、従来の医療費控除により申告する人と、この税制により申告する人がいて構いませんか。
A それぞれが所得控除を申告することができます。
Q 「健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組」の一定の取組に、任意(全額自己負担)で受けたものは含まれますか。
A 申請者が任意に受診した健康診査(全額自己負担)は、「一定の取組」に含まれません。
Q 健康診査等は同一世帯の全員が受診しなければいけませんか。
A 確定申告をされる方が「一定の取組」を実施していることが必要です。
Q 控除の対象となる額は税込みか税抜きかどちらでしょうか。
A 実際に支払った税込み後の価格が控除の対象となります。
Q ドラッグストアで一律○%引きのセールが開催されている場合、控除額は どのような取扱いになるのでしょうか。
A 割引後の価格が控除額となります。
Q 購入した証明書類をなくしてしまった場合はどうすればいいですか。
A セルフメディケーション税制を活用される場合は、必要事項を記載した領収書が必要ですので、購入した薬局等でレシートの再発行をしていただく必要があります。 また、証明書類に対象医薬品の目印が付けられていない場合も同様です。
Q 対象の医薬品を通信販売等で購入する際、支払い日が2017年1月1日以降の場合、この制度の対象になるのでしょうか。
A 支払い日が施行日以降である場合は対象となります。
Q 通信販売等で対象の医薬品を購入した場合、自宅のプリンタで出力した領収書等を証明書類として確定申告に用いることはできますか。
A 自宅のプリンタ等で出力した領収書等は証明書類の原本として認められないため、確定申告に用いることはできません。通信販売等の会社に対し、改めて証明書類の発行を依頼してください。
Q 2017年1月1日以降に新たにリストに追加された品目については、2017年1月1日以降の購入であれば、リスト掲載前の購入であっても税制の対象になるのでしょうか。
A 対象となります。
[ 出典 ※4 ]
- ^※1 この共通識別マークは、日本一般用医薬品連合会より提供を受け掲載しています
- ^※2 出典:厚生労働省ホームページ「セルフメディケーション税制の適用を受ける際に必要となる証明書類(レシート等)の記載事項について」をもとに作成(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html#HID2)
- ^※3 出典:厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html)をもとに作成
- ^※4 出典:厚生労働省ホームページ「セルフメディケーション税制Q&A」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html#HID2)