病気事典

おもな症状と手当て

なんとなく元気がない

よく観察している親が、「なんとなくふだんと違う」といったら、たいへん重要な意味をもつことがあります。直感をみがくと同時に、そう感じたら、受診してください。



顔いろがおかしい

暗紫色…チアノーゼといいます。口唇、爪などにあらわれますが、顔面全体になることもあります。急になった場合には呼吸か心臓に重大な問題が生じたか、あるいは、泣き入りひきつけのように安全な状態かどちらかです。受診してください。

蒼白(そうはく)…急に蒼白になったら、原因はいろいろです。低血糖やてんかん発作も、泣き入りひきつけでも蒼白型があります。くり返すとき、反応が鈍いなどほかの症状を伴うときには医師の判断が必要でしょう。

黄疸(おうだん)…多くは新生児期、乳児期早期のうったえです。心配のない母乳性黄疸(おうだん)と病気の場合があり、受診が必要です。乳児期以降に目の白い部分が黄色い場合には、肝臓疾患の可能性が考えられます。手掌(しゅしょう)だけが黄色いのはみかんの食べすぎなどによるもので心配いりません。



哺乳不良

慢性の哺乳不良は、心臓疾患、呼吸器疾患、神経疾患などの病気のほかに、さまざまな原因があります。小児科医の判断が必要です。急性の哺乳不良は、感染症がもっとも多い原因です。呼吸器感染、胃腸炎、尿路感染などがあります。

発熱がなくても、哺乳が少ない状態が2〜3日続くと、脱水におちいることがあります。ふだん飲む量の3分の2以下に減っていれば受診が必要です。熱やせきが原因の哺乳不良では、それらの治療が先になりますが、時には輸液を必要とします。



発熱

子どもの受診のうったえでもっとも多いのが発熱です。救急受診でも最多の理由です。腋窩(えきか)(わきの下)ではかって37.5度以上が発熱です。それ以下では心配なことはほとんどありません。平熱が低い場合には、平熱よりも1度以上高ければ発熱と考えます。

乳児は体温調節がうまくできないので、高温環境にいると体温が上昇し、低温環境にいると低体温になります。自動車内には絶対に放置してはなりません。春、秋でも直射日光の照る車内は60度にも達し、車内放置は子どもを死に追いやります。

解熱薬の使いかた…病気による発熱は、病気やその回復のサインとして重要です。むやみに解熱薬を使うのはいけません。1歳未満は使わないほうが安全です。病気の状態が把握されてから、医師の指示のもとで解熱薬を使用します。平熱まで下げようとするのは危険なことがあり、1度程度下げるつもりで使用します。1回使用して1度以上も下がりすぎた、または平熱よりも下がったなどの場合には、次回はそれより量を少なくします。

解熱薬は1度使用したら、6時間以上あける(一晩に1回)のが原則です。子どもには危険な解熱薬もあります。アセトアミノフェンが第1選択薬ですので、それ以外の処方のときには理由を確かめてください。

冷やす…体温を下げるのに、外国では冷水スポンジ浴などをしますが、体温調節のへたな乳幼児にはしないほうがよいでしょう。わきの下、くびなどを冷やす程度にします。氷枕は気分がよければしてもけっこうですが、たいした効果は期待できません。額に貼るタイプのものも同様です。熱があっても水分を十分とれていれば無理に熱を下げようとする必要はありません。

高熱だけのときには、まず水分の補給が第一です。ただし高熱時には、胃のはたらきもわるくなっているために、胃の中にたまりやすいミルクやヨーグルトなどは何時間もたってから嘔吐(おうと)することがあります。リンゴジュースとかスポーツドリンクのように吸収が早くて胃を通過しやすいものが適しています。乳幼児向きのイオン飲料もありますが、飲める水分ならなんでもけっこうです。



嘔吐

乳児は胃が垂直位だったり、胃と食道の境目の括約筋がゆるいことなどから、嘔吐(おうと)しやすいのが特徴です。

嘔吐の原因はさまざまです。慢性の嘔吐は、乳児では肥厚性幽門狭窄(きょうさく)、胃軸捻転症などの消化管の異常、水頭症などの神経系の異常などが考えられます。急性の嘔吐は胃腸炎がほとんどですが、尿路感染症、髄膜(ずいまく)炎、代謝疾患などのこともあります。高熱に伴って嘔吐がある場合は、胃腸炎以外の場合もあるので受診してください。くり返す嘔吐もあります。原因によって対応法が異なります。

胃腸炎による嘔吐…まず、嘔吐がおちつくまで、哺乳や食事はやめます。やめている間は水分だけを少量(1回30ml)ずつ、頻回にあげます。水分は、水、白湯(さゆ)、イオン飲料、麦茶などがあり、嘔吐が頻回のときには水分だけではなく、ナトリウムなどの電解質もなくなるために、その補給が必要です。

頻回のとき、2日以上のときにはイオン飲料がよいでしょう。スポーツドリンクよりも、薬局で市販されている子ども用のイオン飲料が補充すべき電解質を多く含み適切です。幼児ではあたたかい水分よりも冷やしたほうが飲みやすいこともあり、好みでけっこうです。哺乳、食事の再開は嘔吐が収まり、飲んだ水分を半日吐かないことを確かめてから始めます。嘔吐が続くと脱水になり、点滴が必要なこともあります。



下痢

乳幼児では嘔吐(おうと)と並行して起きることが多く、年長児では下痢だけのこともあります。慢性の下痢は、乳幼児ならアレルギーや代謝の病気、乳糖不耐症なども含まれます。学童以降は、過敏性腸症候群という病態もあります。年齢によってさまざまな原因で起きます。

胃腸炎による急性の下痢…母乳ならそのまま哺乳してもけっこうですが、下痢が水様性で、頻回のときには1日哺乳を休むと回復が早いことがあります。食とめは2日間までにすべきで、哺乳や食事のとめを長くしてはかえって回復が遅れます。おかゆが食べられる年齢なら、食事再開は重湯、おかゆからで、ミルクはあとからです。下痢どめの薬(止痢薬)は、病状を把握できているときには処方されますが、乳幼児の場合には医師からの処方で服用してください。



便秘

排便には個人差があります。2日に1回でも元気で問題がなければ、便秘とはいいません。排便がなくて腹部が膨満していたり、不快感があったり、排便時に肛門が切れたりするようなら、治療の必要があります。

乳児ではがんこな便秘は腸の病気であることもあります。離乳食開始後に便秘になるのは、離乳食が早すぎることが原因のこともあります。幼児以降の場合には、食事習慣を見直すことで改善することがあります。からだの動きが不自由なために便秘になることもあります。そのような場合には、積極的に緩下(かんげ)薬を使用するほうが楽になります。



腹痛

原因は年齢によってもさまざまです。胃腸炎、虫垂炎、腸重積、便秘などの消化管疾患から心因性までさまざまです。小児の腹痛は緊急を要する疾患であることも多いために、鎮痛薬は使用せず、原因をさぐることが優先します。子どもの虫垂炎、腸重積は典型的な症状を示さないで、いったん症状がおさまることがあるので、胃腸炎といわれて帰宅した場合も注意深く観察してください。くり返し腹痛をうったえる幼児期以降には、それ以外の症状がなければ、ストレスによるものもあり、さするだけで消失することもあります。学童期には潰瘍(かいよう)性大腸炎、胃潰瘍(いかいよう)などの病気もあるので受診が必要です。



おなかがふくらんでいる

これは乳幼児期に多いうったえです。なんでもないこともありますが、腹腔(ふくくう)内に腫瘍(しゅよう)があることもあり、診察が必要です。



発疹

小児期には発熱を伴う発疹(ほっしん)性感染症が多数あります。また、薬疹、湿疹、アトピー性皮膚炎など原因もさまざまです。発熱を伴うときには診察が必要です。元気で発疹だけのときは、ようすをみて大丈夫でしょう。くり返すときには、アレルギーのこともあります。



せき

咽頭(いんとう)炎、気管支炎などの呼吸器感染症のほかに、気道異物、ぜんそくなどがあります。感染症によるせきは、小児ではせきどめよりも、去痰(きょたん)薬が適しています。診察が必要です。



喘鳴

生まれたときからゼイゼイした呼吸をしているのを先天性喘鳴(ぜんめい)といいます。哺乳が少ない場合には気をつけますが、1歳を過ぎるとだいぶ軽快します。かぜのたびにゼイゼイするのは、乳児では気管支が細いためですが、アレルギーの家族歴がある場合には、ぜんそくの場合があります。治療法はさまざまで、継続的な診療が必要です。子どもにはたばこの煙は有害です。ぜんそくを発症させないためにも家庭内喫煙は絶対にいけません。



けいれん

乳幼児期はもっともけいれん発作が多い時期です。熱性けいれんがもっとも多く、原因はさまざまです。一瞬意識がないようにみえるだけの発作もあれば、全身をかたくする発作もあります。けいれんだと思ったら、あわてないで寝かせて、顔を横に向けてください。多くのけいれんは2分以内でおさまりますが、時に20分以上のことがあります。5分以上続くようなら、おさまっても、脳炎などの病気のことがありますので受診したほうが安全です。



意識障害

突然子どもの意識がなくなったら、まず周囲の人を大声で呼びます。子どもでは呼吸からとまることが多いので、まず呼吸を確認します。呼吸をしていないようにみえたら、口と鼻を大人の口でおおって人工呼吸をします。くびに手を当てて、脈拍を確認します。その間に、他の人は救急車に連絡します。救急車がくるまで、人工呼吸と心臓マッサージを続けます。呼吸をしていれば、その必要はなく、よく観察するようにします。

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