<警告>(1)本剤を服用した約3分の1の患者で,不可逆的な視野狭窄がおこることが報告されています。本剤の服用は,点頭てんかんの診断,治療に精通し,かつ本剤の安全性および有効性についての十分な知識を有し,サブリル処方登録システム(SRSP)に登録された医師・薬剤師がおり,網膜電図検査などの眼科検査に精通した眼科専門医と連携が可能な登録医療機関において,登録した患者のみが服用できます。
(2)本剤による視野狭窄の発現頻度は曝露期間の延長,累積服用量の増加に伴い高くなるため,服用開始時および服用中はSRSPに準拠して定期的に視野検査を含めた眼科検査を実施します。視野狭窄,あるいは網膜電図検査などで異常が認められた場合は,本剤による治療の継続の必要性を慎重に判断し,治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ本剤による治療を継続します。継続する場合には,より頻回に眼科検査を行い,本剤による治療の継続が適切であるかどうか定期的に判断することが必要です。
(3)本剤の服用にあたって,医師は患者または代諾者に本剤の有効性および危険性について文書によって説明し,文書で同意を取得することが必要です。
<基本的注意>(1)服用してはいけない場合……本剤の成分に対するアレルギーの前歴/SRSPの規定を遵守できない人
(2)慎重に服用すべき場合……黄斑症,網膜症,緑内障または視神経萎縮の前歴または合併症を有する人/網膜症あるいは緑内障を引きおこすおそれがある薬剤を使用している人/腎機能障害/精神病性障害,うつ病,行動障害の前歴
(3)定期的に眼科検査……「警告」にもあるように,本剤の服用により不可逆的な視野障害および視力障害の発現が報告されています。本剤による視野障害は軽度から重度の両側性求心性視野狭窄であり,通常鼻側から現れ,ほとんどの場合は耳側視野より鼻側視野が広範に欠損します。視野障害は3カ月程度で急激に発現または悪化することがあるため,本剤による視野障害をモニタリングするため,少なくとも3カ月に一度は視力検査,対座法による視野評価などを実施して視機能について確認します。また,網膜電図などによる視野検査を少なくとも服用開始時,服用3カ月,9カ月,12カ月,それ以降は少なくとも6カ月ごとに実施します。
(4)定期的に頭部MRI検査……本剤の服用により視床,基底核,脳幹,小脳などにおいて頭部MRI異常(T2強調画像高信号,拡散強調画像異常信号)の発現が報告されており,髄鞘(ずいしょう)内浮腫が認められているとする報告もあるため,本剤の服用開始時および服用期間中は定期的に頭部MRI検査を実施します。異常が認められた場合には,関連する神経症状の有無などの患者の状態を慎重に観察し,本剤のベネフィット・リスクを評価したうえで,本剤による治療継続の可否を判断します。
(5)減量・中止……急激に服用量を減らしたり中止したりすると,てんかん発作の悪化,てんかん重積状態がおこることがあるので,絶対に自己判断で減量や中止をしないでください。
(6)危険作業,遊戯は禁止……本剤の服用により眠気,注意力・集中力・反射運動能力などの低下がおこることがあるので,服用中には危険を伴う機械操作や遊戯などを行わないでください。また,代諾者は患者の行動に十分注意を払ってください。
(7)その他……
・妊婦での安全性……未確立。有益と判断されたときのみ服用。
・授乳婦での安全性……服用するときは授乳を中止。
・低出生体重児・新生児での安全性……未確立。(
「薬の知識」共通事項のみかた)
<重大な副作用>(1)不可逆的な網膜障害による視野障害,視力障害。(2)視神経萎縮,視神経炎。(3)てんかん重積状態,ミオクローヌス発作。(4)呼吸障害(呼吸停止,呼吸困難,呼吸不全など)。(5)脳症症状(鎮静,昏迷,錯乱,意識障害など)。(6)頭部MRI異常(視床,基底核,脳幹,小脳などに,T2強調画像高信号,拡散強調画像異常信号)。
そのほかにも報告された副作用はあるので,体調がいつもと違うと感じたときは,処方医・薬剤師に相談してください。
<その他の副作用>(1)すぐに処方医に連絡する副作用……激越,不眠症,興奮,攻撃性,神経過敏,うつ病,妄想反応,軽躁(そう),躁病,精神病性障害,自殺企図,幻覚/傾眠,浮動性めまい,会話障害,頭痛,錯感覚,注意力障害,記憶障害,精神的機能障害(思考障害),ふるえ,協調運動異常(運動失調),運動障害(ジストニア,ジスキネジア,筋緊張亢進)/疲労,浮腫,易刺激性/食欲減退/悪心,嘔吐,腹痛/霧視,複視,眼振/発疹,血管浮腫,じん麻疹/関節痛/体重増加
(2)検査などでわかる副作用……貧血/ALT・AST減少
<併用してはいけない薬>併用してはいけない薬は特にありません。ただし,併用する薬があるときは,念のため処方医・薬剤師に報告してください。
<注意して併用すべき薬>(1)併用すると視野障害のリスクが強まるおそれがある薬剤……網膜症を引きおこすおそれがある薬剤(ヒドロキシクロロキン硫酸塩(
エリテマトーデス治療薬)など),緑内障を引きおこすおそれがある薬剤(プレドニゾロン(
副腎皮質ステロイド薬)など)
(2)本剤と併用すると作用が弱まる可能性がある薬剤……フェニトイン(
フェニトイン),ホスフェニトインナトリウム水和物(注射薬)