<警告><基本的注意>*ドネペジル塩酸塩(アリセプト,アリセプトD)の添付文書による
(1)服用してはいけない場合……本剤の成分またはピペリジン誘導体に対するアレルギーの前歴
(2)慎重に服用すべき場合……洞不全症候群,心房内・房室接合部伝導障害などの心疾患/消化性潰瘍の前歴,非ステロイド系解熱鎮痛薬の服用中/気管支ぜんそくまたは閉塞性肺疾患の前歴/錐体外路障害(パーキンソン病,パーキンソン症候群など)
(3)服用法……アリセプトD,ドネペジル塩酸塩ODは,舌の上にのせて唾液に浸すと崩壊するため,水なしでも服用することが可能です。ただし,寝たままの状態では水なしで服用してはいけません。
(4)過量服用……本剤は医療従事者や家族などの管理のもとで服用する必要があります。過量に服用すると高度な吐きけ,嘔吐,よだれ,発汗,徐脈,低血圧,呼吸抑制,虚脱,けいれんなどのコリン系副作用をおこすことがあります。筋脱力の可能性もあり,呼吸筋の弛緩により死亡することもあるので,指示量以上は絶対に服用しないでください。
(5)悪性症候群……本剤の服用によって悪性症候群がおこることがあります。無動緘黙(かんもく)〈緘黙=無言症〉,強度の筋強剛, 嚥下(えんげ)困難, 頻脈, 血圧の変動, 発汗などが発現し,引き続いて発熱がみられたら, 服用を中止して体を冷やす, 水分を補給するなどして,ただちに処方医へ連絡してください。
(6)危険作業は中止……アルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症では,自動車の運転などの機械操作能力が低下する可能性があります。また,本剤により意識障害,めまい,眠けなどが現れることがあるので,自動車の運転など危険を伴う機械の操作には従事しないよう十分に注意してください。
(7)その他……
・妊婦での安全性:有益と判断されたときのみ服用。
・授乳婦での安全性:原則として服用しない。やむを得ず服用するときは授乳を中止。
・小児での安全性:未確立。(
「薬の知識」共通事項のみかた)
<重大な副作用>(1)QT延長,心室頻拍,心室細動,洞不全症候群,洞停止,高度徐脈,心ブロック(洞房ブロック,房室ブロック),失神。(2)心筋梗塞,心不全。(3)胃・十二指腸潰瘍,十二指腸潰瘍穿孔(せんこう),消化管出血。(4)肝機能障害,肝炎,黄疸。(5)脳性発作,脳出血,脳血管障害。(6)原因不明の突然死。(7)錐体外路(すいたいがいろ)障害(寡動,運動失調,ジスキネジア,ジストニア,ふるえ,不随意運動,歩行異常,姿勢異常,言語障害)。(8)悪性症候群(無動無言,強度の筋強剛,嚥下(えんげ)困難,発汗,発熱,頻脈,血圧の変動など)。(9)呼吸困難。(10)急性膵炎。(11)急性腎障害。(12)横紋筋(おうもんきん)融解症(筋肉痛,脱力感など)。(13)血小板減少。
そのほかにも報告された副作用はあるので,体調がいつもと違うと感じたときは,処方医・薬剤師に相談してください。
<その他の副作用>(1)服用を中止し,すぐに処方医に連絡する副作用……アレルギー症状(発疹,かゆみ)
(2)次回,受診した際に処方医に伝える副作用……食欲不振,吐きけ,嘔吐,下痢,便秘,腹痛,よだれ,嚥下障害,便失禁/興奮,不穏,不眠,眠け,性欲亢進,多弁,躁(そう)状態,易怒性,幻覚,攻撃性,せん妄,妄想,抑うつ,悪夢,錯乱,無感情,多動/徘徊(はいかい),ふるえ,頭痛,めまい,昏迷/動悸,上室性期外収縮,心室性期外収縮/尿失禁,頻尿,尿閉/貧血/顔面潮紅,倦怠感,脱力感,発汗,胸痛,筋痛,体重減少,転倒,むくみ,発熱
(3)検査などでわかる副作用……LDH・AST・ALT・γ-GTP・AL-P上昇/血圧上昇,血圧低下,心房細動,QT延長/BUN上昇/ヘマトクリット・白血球・血小板減少/CK上昇,総コレステロール・トリグリセリド・アミラーゼ・尿アミラーゼ上昇
<併用してはいけない薬>併用してはいけない薬は特にありません。ただし,併用する薬があるときは,念のため処方医・薬剤師に報告してください。
<注意して併用すべき薬>(1)本剤との併用で作用が強まる薬剤……スキサメトニウム塩化物水和物(注射薬),コリン賦活薬(塩化アセチルコリン,カルプロニウム塩化物(
カルプロニウム塩化物),アクラトニウムナパジシル酸塩・ベタネコール塩化物(
副交感神経刺激薬)),コリンエステラーゼ阻害薬(アンベノニウム塩化物・ジスチグミン臭化物・ピリドスチグミン臭化物(
筋無力症治療薬),臭化ネオスチグミンなど)
(2)併用すると本剤の作用を強める薬剤……イトラコナゾール(
深在性真菌治療薬),エリスロマイシン(
マクロライド),キニジン硫酸塩水和物(
キニジン硫酸塩水和物),ブロモクリプチンメシル酸塩(
乳汁分泌異常症治療薬),イストラデフィリン(
イストラデフィリン)
(3)併用すると本剤の作用を弱める薬剤……カルバマゼピン(
カルバマゼピン),デキサメタゾン(
副腎皮質ステロイド薬),フェニトイン(
フェニトイン),フェノバルビタール(
バルビツール酸誘導体),リファンピシン(
リファンピシン)
(4)併用すると相互に作用が弱まる薬剤……中枢性抗コリン薬(
抗コリン性パーキンソン症候群治療薬)(トリヘキシフェニジル塩酸塩,ピロヘプチン塩酸塩,マザチコール塩酸塩水和物,メチキセン塩酸塩,ビペリデン塩酸塩など),アトロピン系抗コリン薬(ブチルスコポラミン臭化物(
鎮けい薬),アトロピン硫酸塩水和物(
散瞳薬)など)
(5)併用すると消化性潰瘍をおこす可能性がある薬剤……非ステロイド系解熱鎮痛薬