<警告>(1)イダルビシン塩酸塩を使用したすべての人に強い骨髄機能抑制がおこり,さらに感染症や出血などによって,本剤に関連したと考えられる死亡例も認められています。アムルビシン塩酸塩の使用によって,間質性肺炎,あるいは本剤との因果関係が否定できない重い骨髄機能抑制に起因する重い感染症(敗血症,肺炎など)の発現による死亡例が報告されています。
(2)がん化学療法は,緊急時に十分に措置できる医療施設で,がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師に,本剤の有効性・危険性を十分に聞き・たずね,同意してから受けなければなりません。
<基本的注意>*ドキソルビシン塩酸塩(アドリアシン注用)の添付文書による
(1)使用してはいけない場合……心機能異常またはその前歴/本剤の成分に対する重いアレルギーの前歴
(2)慎重に使用すべき場合……骨髄機能抑制/肝機能障害/腎機能障害/感染症の合併/水痘/高齢者
(3)頻回に検査……骨髄機能抑制,心筋障害などの重い副作用がおこることがあるので,頻回に血液,肝機能,腎機能,心機能などの検査を受ける必要があります。
(4)尿の色……本剤の尿中排泄により,尿が赤色になることがあります。
(5)水痘……水痘(水ぼうそう)の人が使用すると,致命的な全身障害が現れることがあるので,状態に十分注意してください。
(6)感染症,出血傾向……使用によって,感染症,出血傾向の発現または悪化がおこりやすくなるので,状態に十分注意してください。
(7)性腺への影響……小児および生殖可能な年齢の人が使用すると,性腺に影響がでることがあります。処方医とよく相談してください。
(8)二次発がん……本剤と他の抗がん薬を併用した人に,急性白血病,骨髄異形成症候群(MDS)が発生することがあります。
(9)その他……
・妊婦での安全性:原則として使用しない。
・授乳婦での安全性:未確立。使用するときは授乳を中止。
・低出生体重児,新生児での安全性:未確立。(
「薬の知識」共通事項のみかた)
<重大な副作用>(1)心筋障害,心不全。(2)骨髄機能抑制,出血(汎血球減少,貧血,白血球減少,血小板減少など)。(3)ショック。(4)(膀胱腔内注入による)萎縮膀胱。(5)間質性肺炎(せき,呼吸困難,発熱など)。
そのほかにも報告された副作用はあるので,体調がいつもと違うと感じたときは,処方医・薬剤師に相談してください。
<その他の副作用>(1)処方医に連絡すべき副作用……頻脈,不整脈,胸痛
(2)おこることがある副作用……食欲不振,悪心・嘔吐,口内炎,下痢/脱毛,色素沈着/アレルギー症状(発疹)/倦怠感,頭痛/膀胱腔内注入療法による頻尿・残尿感・排尿痛・膀胱炎・血尿/気胸・血胸(肺転移の場合)/発熱,鼻出血
(3)検査などでわかる副作用……心電図異常/肝機能障害/タンパク尿
<併用してはいけない薬>併用してはいけない薬は特にありません。ただし,併用する薬があるときは,念のため処方医・薬剤師に報告してください。
<注意して併用すべき薬>(1)併用すると心筋障害が強まる薬剤・療法……投与前の心臓部・縦隔への放射線照射/潜在的に心毒性を持つ抗がん薬(他のアントラサイクリン系薬剤など)
(2)併用すると骨髄機能抑制などの副作用が強まる薬剤・療法……他の抗がん薬/放射線照射/パクリタキセル(
イチイ由来抗腫瘍薬)