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薬をめぐるトピックス お薬検索[薬事典]- メディカルiタウン


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お薬検索[薬事典]

薬をめぐるトピックス

スイッチOTCにならなかったノルレボ錠

「ノルレボ錠(一般名:レボノルゲストレル)」という薬剤があります。本書にも掲載されていますが「緊急避妊薬」に分類され、WHO(世界保健機関)によってエッセンシャルドラッグ(必須医薬品)に定められているものです。

この薬剤は、避妊措置に失敗した、または避妊措置ができなかった性交後、できるだけ早い時間(72時間以内)に服用することにより、主に排卵抑制作用によって避妊効果を得るものです。タイミング的に妊娠成立後(着床以降)の避妊効果は期待できませんが、性交後72時間以内の服用で、80%以上の妊娠阻止率が認められています。

この「緊急避妊薬」は、本書で海外評価の対象国としている英米独仏どの国でもOTC薬(一般用医薬品)として薬局で入手可能で、アメリカではネット販売もされています。それに対してわが国では、処方薬としては平成23年5月に発売されましたが、OTC薬として販売されるのはまだまだ先のようです。

国の方針としては、平成26年6月の「日本再興戦略」改訂2014で、自分自身の健康のため、軽度な身体の不調には身近な一般用医薬品を利用する「セルフメディケーション」という考え方を推進することとされ、医療用医薬品から一般用医薬品への転用を加速することになりました。平成28年8月より厚生労働省は、医療用医薬品の一般用医薬品への転用(スイッチOTC)の候補となる成分の要望募集を始めています。

28年度には前記のレボノルゲストレルを含む18の成分について要望があがり、「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」で順次検討がなされています(年に2~3回のペースですが)。平成30年2月6日現在で、5つの成分についての検討結果が公表されており、その可否は次のようになっています。

  • ヒアルロン酸ナトリウム:点眼薬として医療用医薬品の効能を絞った形で容認
  • レバミピド:スイッチOTC可
  • レボノルゲストレル:スイッチOTC否
  • メロキシカム:効能を限定してスイッチOTC可
  • フルチカゾンプロピオン酸エステル:留意事項を付けてスイッチOTC可

ということで、緊急避妊薬については認められませんでした。

世界標準とはかけ離れた結果

これには様々な理由が述べられていますが、「効果が100%でないから」とか、「性教育が遅れているから」とか、「高額だから全ての薬局に配備できない可能性が高い」といった、「えっ?」と思うような意見が出されていたことが、会議の議事録からは伺えます。

その議事録では年間で約20万件もの人工妊娠中絶手術が行われているとのデータも示されていました。そのうちの何割かでも緊急避妊薬で回避できるのなら、母体にとってより安全な状況を作ることになるわけです。そう考えるならば、この「スイッチOTC否」という決定は、不作為の犯罪と言ったら言いすぎになるでしょうか。

海外ではOTCとして購入できる薬が日本ではごく限られた医療機関でしか手に入らないという状況は、子宮頸がんワクチンを積極的に勧めない政策と同じように、世界標準からは随分と離れたものだと思います。

平成29年9月から10月にかけて募集されたパブリックコメントでは、レボノルゲストレルに関して348件の意見が提出され、対策などの条件を付けての賛成も含めると、そのうち実に320件がスイッチOTCに賛成というものでした。一般国民の性教育、販売にあたる薬剤師の研修など、様々な課題も指摘されていますが、それらはほかの国々ではクリアされている問題です。条件を整備し、いつまでにOTC化する、といった道を示す必要があると思います。また、そうしなければ、「保育園落ちた、日本死ね」のように問題が大きくクローズアップされない限り、次の検討の対象にもあがってこない可能性が強いのです。

このOTCの緊急避妊薬のアメリカにおける市販価格は、製品や店舗により異なりますが、1錠で40~50ドル(4,000~5,000円)です。現在、日本の産婦人科などの医療機関でノルレボ錠を購入する際は、保険適応はないので自費医療となり、1錠15,000円前後と言われていますので、それに比べると敷居も値段も低いと言えます。

2年ごとの薬価改定―値下げと値上げ

平成30年は、2年ごとに行われる保険診療での診療報酬・調剤報酬・薬価改定の年に当たります。薬価は公定価格ですので、製薬メーカーや薬局などの医療機関で勝手に変更することはできません。そこで2年ごとに薬価と実勢価格(薬局・医療機関と医薬品卸業者との取引価格)とを比較し、価格を調整するという制度になっています。

実勢価格は商取引ですので、安くなる傾向があり(薬価と実際の価格との差は薬価差益となりますが、医薬品には有効期限があるので、ある程度の薬価差益がないと廃棄ロス分が補填できません)、実際、薬価改定はほとんど「薬価切り下げ」と同意語になっています。今回の薬価改定では、長期収載品(保険で使用できる医薬品として薬価収載されてから長期間経過し、さらに特許が切れて後発医薬品が発売されてからも長期間経過しているもの)で顕著に薬価が引き下げられました。

たとえば、抗血小板薬のプレタール(一般名シロスタゾール)は50mg錠で80.8円→44.0円に、ベーターブロッカーのメインテート(一般名ビソプロロール)は5mg錠で106.4円→49.3円など、50%前後も引き下げられました。

このことは先発医薬品と後発医薬品の値段の差が大きく(場合によっては10倍以上)、引き下げ余地があったことを示していますが、製薬メーカーから見れば、昨年特例として薬価が引き下げられたオプジーボの件が皆の身に降りかかったとも言えます。私たち薬局の立場から見れば、在庫の資産価値の大幅な下落が生じたということになります。

一方で、「基礎的医薬品」として認定された後発医薬品のなかには、ノルフロキサシン錠200mg「サワイ」と「ツルハラ」で6.7円→63円、デルモゾールG軟膏・クリーム・ローションの各製剤で7.7円→27.2円のように、数倍から10倍近くの値上がりとなったものも存在します。この「基礎的医薬品」は、度重なる薬価改定で採算が悪化してしまい供給停止となる事態がありうるが、医療現場からの要望があるため、それもままならない医薬品について、条件を満たしたものは最も販売額が大きい銘柄に価格を集約してその薬価を維持し、メーカーには継続的な安定供給を求めるものです。

さて、ここで決められた公定薬価は日本全国同じですが、患者さんにとっての支払額は、同じ薬品でも処方箋を持ち込む薬局によって異なるという現象が、今回も続いています。薬局での調剤基本料(処方箋受付料とも言える)が、薬局の規模(1カ月平均の処方箋受付け回数により区別される)、あるいはその薬局のある場所(病院の敷地内にあったり、医療モールの中にあったり)といった様々な条件により、何段階にも分けられているからです(原則的には20点~41点)。

最近の後発医薬品事情

ここ数年のトレンドとして、先発医薬品と全く同じ原薬・添加物・製法を用いた後発医薬品である「オーソライズド・ジェネリック」(AGと呼ばれています)の発売があります。

一般的に後発医薬品は、主成分は全く同じでも、製薬メーカーにより添加物や製法は異なり、それぞれ独自の技術で製造しています。様々な工夫もなされ、先発医薬品にはない剤形や規格のものも作られています。ですから場合によってはその添加物が体質に合わないこともあり、本書では後発医薬品に切り替える際には1種類ずつ変更していくことをお勧めしています。

しかし、このAGは、主には子会社など関連のある後発医薬品メーカーが先発医薬品メーカーの許諾(Authorize)を受けて製造するものですが、なかには製造工場まで同じという場合もあります。どちらにせよ、AGは製剤の刻印や包装は違っていますが、中身は先発医薬品と全く同じものということができ、切り替えのリスクは全くありません。

後発医薬品が調剤される割合は、現在ではほぼ70%に近づいていますが、国はさらに目標を80%としています。国を挙げての切り替えですので、先発医薬品メーカーとしても自社製品のシェアがどんどん下がっていくのを指をくわえて眺めているわけにはいかなくなった、そんなゆとりはなくなってきたというのがAGが増加している理由の一つです。

さて、後発医薬品割合を80%に伸ばすため、国は病医院・薬局それぞれに「飴と鞭」を用意しています。病医院に対しては、院内で使用する医薬品の後発医薬品割合による報酬のアップ、院外処方では一般名処方(成分名で処方し、先発医薬品・後発医薬品の選択は患者と薬局にゆだねるもの)への報酬アップで、また薬局に対しては、後発医薬品の調剤割合が高いところには報酬アップを、低いところには報酬を減らす仕組みを今回の改定で顕著に示しました。

このうち、薬局における後発医薬品調剤体制加算は、その薬局で調剤される医薬品のうち、後発医薬品が存在するもの全体のなかで後発医薬品が占める割合が75%以上の場合に、適用されます。3段階あり、75%以上で18点、80%以上で22点、85%以上で26点が加算されます。

このような加算に先の基本点数の違いも相まって、同じ調剤内容でも、薬局によって、また曜日や時間によっても、患者さんの負担金額は異なることになります。

医薬品の値段に対する考え方

本書に関する参考資料として、欧米各国の医薬品の値段を比較することが時々あります。そのなかで、医薬品の値段に関する考え方の違いを感じるのは、容量(1単位ごとに含まれる成分の量)とその価格の関係性です。

数年前まで世界で一番多く使用されていた高コレステロール血症用薬であるリピトール錠(一般名アトルバスタチン)で比較してみましょう。日本では一般的に同じ成分で容量の異なる製剤では、ほぼ容量に比例した価格が付けられています。

  • リピトール5mg錠:46.4円
  • リピトール10mg錠:88.2円

それに比べてアメリカでは、コストコの薬局における100錠包装のものの実売価格を1錠当たりにして、1ドル106円で換算すると

  • リピトール10mg:1136円
  • リピトール20mg:1616円
  • リピトール40mg:1616円
  • リピトール80mg:1616円

一方、フランスでは、処方薬年鑑であるVidalを参照し、90錠包装のものを1錠当たりにして、1ユーロ131円で換算すると

  • Tahor 10mg:50円
  • Tahor 20mg:50円
  • Tahor 40mg:50円
  • Tahor 80mg:50円

*Tahor…フランスでのアトルバスタチンの先発品名称

わが国で5mgと10mgの製品しかない(健康保険上1日に処方できる最大量は重症の家族性高コレステロール血症で40mg)ものに、80mgの製品が流通しているのにも驚かされますが、容量の違いによる値段差がほとんどないことに不思議な感じがしますね。また、アメリカにおける先発医薬品の値段の高さもビックリです。

ちなみに、同じコストコの薬局での後発医薬品の値段は

  • Atorvastatin 10mg:20.2円
  • Atorvastatin 20mg:23.1円
  • Atorvastatin 40mg:28.5円

*80mgの後発医薬品は取り扱いなし

参考までに、わが国の後発品の価格は

  • 5mg:11.7円~23.7円
  • 10mg:24.4円~45.7円

医薬品は付加価値の高い商品ですから、原材料価格が販売価格に占める割合はかなり低く、容量が8倍になっても原価はほとんど変わらないと思われますので、値段に差がない方が経済合理性からは正しいようにも思えます。

 *    *    *

欧米の錠剤の全てに割り線(錠剤を半分に割りやすくする切れ込み)が入っていないわけではありませんが、薬局で1錠を割って半量のものにして提供することは欧米では一般的ではありません。パッケージのままで患者さんの手元にわたるので、患者さん本人が割って使用することはあると思いますが。

一方、わが国では、患者負担を少しでも低く抑えようとする場合、あるいは病院内の採用医薬品が大きい容量のものだけであり、院内と院外での外見上(処方上)の差異をなくすためなどの理由で、半分の容量の製品があるにもかかわらず、錠剤を半分に割って調剤するよう指示している処方が出るケースが結構あります。

特に、わが国には珍しく、容量の差に比べて値段差が少ない次のような薬剤(抗凝固薬、一般名エドキサバン)では、割って使う方が一般的といってもよいくらいです。

  • リクシアナ錠30mg:538.4円
  • リクシアナ錠60mg:545.6円

この薬で1回処方量が30mgのケースでは、多くの処方箋が「60mg半錠」となっています。日本では、1回に服用する薬品を一包化したり、半錠にして分包したりすることが日常的に行われているため、半分のものには半分くらいの値段というのが共通認識なのでしょう。

本文は、「医者からもらった薬がわかる本 第31版(2018年8月改訂デジタル専用版)」の記事を原文のまま掲載しています。

[処方薬]は、株式会社 法研から当社が許諾を得て使用している「医者からもらった薬がわかる本 第31版(2018年8月改訂デジタル専用版)」の情報です。掲載情報の著作権は、すべて株式会社 法研に帰属します。

データ更新日:2018/08/14

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