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内服薬

処方薬情報の見方

種別

内服薬

大分類/中分類

痛み・炎症・熱の薬/リウマチ・痛風の薬

解説タイトル

ヤヌスキナーゼ阻害薬

一般名 解説

トファシチニブクエン酸塩
この薬の先発薬・後発薬を全て見る

剤形/保険薬価 解説

錠剤 / 5mg 1錠 2,659.90円

製薬会社 解説

ファイザー

先発/ジェネリック 解説

先発品

分類 解説

ヤヌスキナーゼ阻害薬

規制 解説

劇薬

使用量と回数 解説

[関節リウマチ]1回5mgを1日2回服用。[潰瘍性大腸炎]処方医の指示通りに服用。

識別コード 解説

5mg 包装コード:JKI 5 pfizer 本体コード:pfizer:JKI 5
5mg 包装コード:JKI 5 本体コード:pfizer:JKI 5

その他 解説

保険収載年:2013/5

「識別コード」は、薬の包装材や本体に数字・記号で記載されています。

※以下は同じ 解説タイトルで共通の解説です。[]内は一般名で、それぞれに該当する内容が書かれています。

処方目的 解説

[トファシチニブクエン酸塩の適応症]既存治療で効果不十分な関節リウマチ/中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
[バリシチニブの適応症]既存治療で効果不十分な以下の疾患→関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む),アトピー性皮膚炎/SARS-CoV-2による肺炎(ただし酸素吸入を要する患者に限る)/円形脱毛症(ただし,脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)
[ペフィシチニブ臭化水素酸塩の適応症]既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
[ウパダシチニブ水和物の適応症]既存治療で効果不十分な以下の疾患→関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む),関節症性乾癬,X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎,強直性脊椎炎,アトピー性皮膚炎/中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
[フィルゴチニブマレイン酸塩の適応症]既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)/中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入および維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

解説 解説

ここに掲載の5つの製剤は,関節リウマチに伴う炎症に重要な役割を果たす細胞内のシグナル伝達経路であるJAK(ヤヌスキナーゼ) Pathwayを阻害する薬剤で,炎症や細胞の活性化,免疫細胞の増殖を抑制します。過去の治療において,メトトレキサート(メトトレキサート)をはじめとする少なくとも1剤の抗リウマチ薬(DMARD)などによる適切な治療を行っても,症状が十分に改善されない場合に使用されます。
トファシチニブクエン酸塩,ウパダシチニブ水和物,フィルゴチニブマレイン酸塩は,さらに潰瘍性大腸炎にも有効で,過去の治療において,他の薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤(潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬(1)),ステロイド,免疫抑制薬または生物製剤)による適切な治療を行っても,疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に使用されます。第7章の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬(4)(潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬(4))を参照してください。
一方,バリシチニブおよびウパダシチニブ水和物はアトピー性皮膚炎にも有効です。ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬などの抗炎症外用薬による適切な治療を一定期間施行しても十分な効果が得られず,強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ場合が適応で,原則としてアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用薬を併用します。また,本剤服用時も保湿外用薬を継続使用します。
なお,バリシチニブは2021年4月より「SARS-CoV-2による肺炎」(いわゆる新型コロナウイルスによる肺炎)も適応となりました。ただし,抗ウイルス薬のレムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注)との併用で,酸素吸入,人工呼吸管理または体外式膜型人工肺(ECMO)の導入を要する患者を対象に入院下で投与されます。さらに2022年6月に円形脱毛症が適応になりました。服用開始時に,頭部全体の概ね50%以上に脱毛が認められ,過去6カ月程度毛髪に自然再生が認められない人に処方されます。

使用上の注意

警告 解説

(1)本剤の服用により,結核,肺炎,敗血症,ウイルス感染などによる重い感染症の新たな発現もしくは悪化などが報告されており,悪性腫瘍の発現も報告されています。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め,これらのことを十分に話し合い納得したうえで,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用されるべき薬剤です。また,本剤の服用により重い副作用が発現し,致命的な経過をたどった症例が報告されているので,緊急時の対応が十分可能な医療施設および医師によって処方され,服用後に副作用が発現した場合にはすぐに主治医に連絡しなければなりません。
(2)敗血症,肺炎,真菌感染症を含む日和見感染症などの致死的な感染症が報告されているため,十分な観察を行うなど感染症の発症に注意する必要があります。また,結核の既感染者では症状の顕在化および悪化のおそれがあるため,本剤の服用に先立って,胸部X線検査に加え,インターフェロン-γ遊離試験またはツベルクリン反応検査を行い,適宜胸部CT検査などを行って,結核感染の有無を確認する必要があります。結核の既往歴のある人・結核の感染が疑われる人は,結核などの感染症について診療経験のある医師との連携のもと,原則として本剤の服用開始前に適切な抗結核薬を服用することが必要です。ツベルクリン反応検査などの検査が陰性の患者において,服用後に活動性結核が認められた例も報告されています。
(3)関節リウマチの人では,本剤による治療を行う前に,少なくとも1剤の抗リウマチ薬などの使用を十分に勘案し,また,本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が処方しなければなりません。
(4)[トファシチニブクエン酸塩,ウパダシチニブ水和物,フィルゴチニブマレイン酸塩]潰瘍性大腸炎では,本剤の治療を行う前に少なくとも1剤の既存治療薬(5-アミノサリチル酸製剤,ステロイド,免疫抑制薬または生物製剤)の使用を十分勘案し,また,本剤についての十分な知識と潰瘍性大腸炎治療の経験をもつ医師が処方しなければなりません。

基本的注意 解説

*全剤の添付文書による

(1)服用してはいけない場合……[トファシチニブクエン酸塩,ペフィシチニブ臭化水素酸塩,ウパダシチニブ水和物,フィルゴチニブマレイン酸塩]本剤の成分に対するアレルギーの前歴/重度の感染症(敗血症など)/活動性結核/好中球数が500/mm3未満(ウパダシチニブ水和物とフィルゴチニブマレイン酸塩は1,000/mm3未満)の人/リンパ球数が500/mm3未満の人/ヘモグロビン値が8g/dL未満の人/重度の肝機能障害/妊婦または妊娠している可能性のある人/末期腎不全(フィルゴチニブマレイン酸塩のみ)
[バリシチニブ]〈効能共通〉本剤の成分に対するアレルギーの前歴/活動性結核/好中球数が500/mm3未満/妊婦または妊娠している可能性のある人/〈関節リウマチ,アトピー性皮膚炎,円形脱毛症の場合〉重度の感染症(敗血症など)/重度の腎機能障害/リンパ球数が500/mm3未満の人/ヘモグロビン値が8g/dL未満の人/〈SARS-CoV-2による肺炎の場合〉透析患者または末期腎不全患者(eGFRが15mL/分/1.73m2未満)/リンパ球数が200/mm3未満
(2)慎重に服用すべき場合……[共通]感染症(重度の感染症,SARS-CoV-2による肺炎(バリシチニブのみ)を除く)または感染症が疑われる人/結核の既感染者(特に結核の前歴のある人および胸部X線上で結核治癒所見のある人)または結核感染が疑われる人/感染症にかかりやすい状態にある人/B型肝炎ウイルスキャリアの人または既往感染者(HBs抗原陰性,かつHBc抗体またはHBs抗体陽性)/好中球・リンパ球・ヘモグロビン値減少のある人/間質性肺炎の前歴/腸管憩室/静脈血栓塞栓症のリスク(喫煙,高血圧,糖尿病,冠動脈疾患の既往など)のある人(ペフィシチニブ臭化水素酸塩を除く)/高齢者
[トファシチニブクエン酸塩]心血管系事象(心筋梗塞など)のリスク因子を有する人/軽度または中等度の肝機能障害/腎機能障害
[ウパダシチニブ水和物]軽度または中等度の肝機能障害/腎機能障害
[バリシチニブ]〈効能共通〉軽度または中等度の腎機能障害/肝機能障害/〈SARS-CoV-2による肺炎の場合〉重度の腎機能障害(透析患者または末期腎不全の患者を除く)
[ペフィシチニブ臭化水素酸塩]軽度および中等度の肝機能障害/先天性QT短縮症候群
[フィルゴチニブマレイン酸塩]中等度または重度の腎機能障害
(3)服用量……[トファシチニブクエン酸塩]本剤を関節リウマチに使用する場合は通常,1回5mg(1錠)を1日2回服用しますが,中等度・重度の腎機能障害,中等度の肝機能障害がある人は副作用が強く現れるおそれがあるので,1日1回5mg(1錠)に減らして服用します。[バリシチニブ]通常は1日1回4mgですが,中等度の腎機能障害がある人やプロベネシド(プロベネシド)と併用する場合は1日1回2mgに減量します。[ペフィシチニブ臭化水素酸塩]通常は1日1回150mgですが,中等度の肝機能障害がある人は1日1回50mgに減量します。[フィルゴチニブマレイン酸塩]通常は1日1回200mgですが,中等度・重度の腎機能障害がある人は1日1回100mgに減量します。
(4)生ワクチン……本剤の服用による感染症発現のリスクを否定できないので,服用直前および服用中は生ワクチンの接種を行ってはいけません。
(5)飲食物……[トファシチニブクエン酸塩,ウパダシチニブ水和物]セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品は両剤の作用を弱めるおそれがあり,一方,グレープフルーツは両剤の作用を強めるおそれがあるので,服用中はこれらの飲食物を摂取しないようにしてください。
(6)妊娠……妊娠する可能性のある女性が服用する場合は,服用中および服用終了後少なくとも1月経周期は妊娠を避けてください。
(7)その他……
・授乳婦での安全性:服用するときは授乳しないことが望ましい。
・小児での安全性:未確立。(「薬の知識」共通事項のみかた

重大な副作用 解説

(1)帯状疱疹,肺炎(ニューモシスティス肺炎などを含む),敗血症,結核などの重い感染症。(2)消化管穿孔(せんこう)。(3)好中球減少,リンパ球減少,ヘモグロビン減少。(4)肝機能障害,黄疸。(5)間質性肺炎(発熱,せき,呼吸困難など)。(6)静脈血栓塞栓症(肺塞栓症および深部静脈血栓症:ペフィシチニブ臭化水素酸塩を除く)。
[トファシチニブクエン酸塩](7)心血管系事象(心筋梗塞など)。(8)悪性腫瘍。
[ウパダシチニブ水和物](8)重篤な過敏症(アナフィラキシー,血管浮腫)。
そのほかにも報告された副作用はあるので,体調がいつもと違うと感じたときは,処方医・薬剤師に相談してください。

その他の副作用 解説

[トファシチニブクエン酸塩]
(1)服用を中止し,すぐに処方医に連絡する副作用……アレルギー症状(じん麻疹,血管浮腫など)
(2)すぐに処方医に連絡する副作用……感染症・寄生虫症:鼻咽頭炎,気管支炎,尿路感染,インフルエンザ,膀胱炎,咽頭炎,副鼻腔炎,肺炎,単純ヘルペス,蜂巣炎,ウイルス性胃腸炎,腎盂腎炎,ウイルス感染,細菌性関節炎,サイトメガロウイルス感染,細菌性肺炎,肺炎球菌性肺炎,脳炎(BKウイルス脳炎を含む),クリプトコッカス性髄膜炎,マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス感染,壊死性筋膜炎,ニューモシスチス肺炎,非定型マイコバクテリア感染,菌血症,ブドウ球菌性菌血症/脱水/不眠症/頭痛,錯感覚/せき,呼吸困難,副鼻腔うっ血/悪心,下痢,腹痛,消化不良,嘔吐,胃炎/発疹,かゆみ,紅斑/関節痛,筋骨格痛,関節腫脹,腱炎/疲労,発熱,末梢性浮腫/体重増加/靱帯捻挫,肉離れ
(3)検査などでわかる副作用……貧血,白血球減少/高脂血症,脂質異常症/高血圧/脂肪肝/血中クレアチンホスホキナーゼ増加,血中コレステロール増加,γ-GTP増加,低比重リポタンパク増加,肝酵素上昇,血中クレアチニン増加,高比重リポタンパク増加,トランスアミナーゼ上昇,肝機能検査異常

併用してはいけない薬 解説

併用してはいけない薬は特にありません。ただし,併用する薬があるときは,念のため処方医・薬剤師に報告してください。

注意して併用すべき薬

[トファシチニブクエン酸塩]
(1)併用すると本剤の作用が強まるおそれがある薬剤……マクロライド系抗生物質(マクロライド)(クラリスロマイシン,エリスロマイシンなど),ノルフロキサシン(ニューキノロン剤),アゾール系抗真菌薬(深在性真菌治療薬)(イトラコナゾール,ボリコナゾール,フルコナゾールなど),カルシウム拮抗薬(カルシウム拮抗薬) (ジルチアゼム塩酸塩,ベラパミル塩酸塩),アミオダロン塩酸塩(アミオダロン塩酸塩),シメチジン(ヒスタミンH2受容体拮抗薬),フルボキサミンマレイン酸塩(選択的セロトニン再取り込み阻害薬),抗HIV薬(エイズ治療薬(2))(リトナビル,アタザナビル硫酸塩)
(2)併用すると本剤の作用が弱まるおそれがある薬剤……抗てんかん薬(バルビツール酸誘導体(バルビツール酸誘導体),カルバマゼピン(カルバマゼピン),フェノバルビタール(バルビツール酸誘導体),フェニトイン(フェニトイン)など),リファンピシン(リファンピシン),リファブチン(リファブチン),モダフィニル(ナルコレプシーに用いる薬
[バリシチニブ]
(1)併用すると本剤の作用が強まるおそれがある薬剤……プロベネシド(プロベネシド
[ウパダシチニブ水和物]
(1)併用すると本剤の作用が強まるおそれがある薬剤……イトラコナゾール(深在性真菌治療薬),リトナビル(エイズ治療薬(2)),クラリスロマイシン(マクロライド)など
(2)併用すると本剤の作用が弱まるおそれがある薬剤……リファンピシン(リファンピシン),カルバマゼピン(カルバマゼピン),フェニトイン(フェニトイン)など

海外評価 解説

  • 2点
  • 英
  • 米
  • 独
  • 仏

プレグナンシー・カテゴリー 解説

  • PC
  • C

[ご利用上の注意]
薬の服用にあたっては、必ず処方する医師、薬剤師の指示、又は製薬会社の説明書にしたがって下さい。 また、自分が疑っていた副作用が本書に記載してあるからといって、自己判断で服用をやめたりしないでください。 疑問な点があれば、すぐに医師、薬剤師に相談して下さい。本サイトに掲載後に承認された新薬もありますので、不明な薬については、医師、薬剤師にお問い合わせ下さい。

[処方薬]は、株式会社 法研から当社が許諾を得て使用している「医者からもらった薬がわかる本 第33版(2023年7月改訂デジタル専用版)」の情報です。掲載情報の著作権は、すべて 株式会社 法研 に帰属します。

データ更新日:2023/09/27