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子宮頸がんは早期発見が重症化を防ぐ - 治療法と予防法 病気を知ろう 医療特集 - メディカルiタウン


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医療特集

子宮頸がんは早期発見が重症化を防ぐ - 治療法と予防法

更新日:2016/04/04

子宮頸がんについて、ライフステージに照らした治療法の選択や予防法など、気になることについても伺いました。

NTT東日本関東病院 産婦人科 部長 角田 肇

お話を伺った先生:

軽度異形成の場合

ウイルスの型を調べ経過観察

軽度異形成の場合には積極的な治療は行わず、定期的な検査による経過観察で十分です。

軽度・中等度異形成が見つかった人の場合、高リスク型HPV感染の有無を調べるHPV-DNA一括検査でなく、どの型のウイルスに感染しているか、より正確に判定できるHPV-DNAタイピング検査も保険で認められています。

「軽度・中等度異形成が発見された患者さんにとって、どのタイプのウイルスがいるのかが非常に重要です。16型、18型がいるのか、それ以外の高リスク型HPVなのかによって、未来の予想が違ってきます」(角田先生)

16型、18型感染の場合は、より慎重に

16型や18型が見つかった人は、より慎重な観察が必要になります。その人たちが、必ずがんになるというわけではありませんが、他の高リスク型HPVよりもがんに進む確率は高いということが分かっています。

残念ながら、現在のところ飲み薬や注射などで、HPVを排除することはできないため、経過観察中に、高度異形成や上皮内がんに進行したことが確認された場合は、外科的に切除することを検討します。

早期子宮頸がんの治療

円錐切除術

高度異形成、もしくは、上皮内がんと診断された場合、「円錐切除術」という手術が可能です。これは、子宮全体を摘出するのではなく、子宮頸部の一部分を円錐状に切除するもので、子宮体部を残すことができるので、妊娠する能力を温存することができます(図3)。

妊娠を強く希望する患者さんには深さ3mm(ステージⅠA1期)までのごく初期の子宮頸がんであれば、円錐切除術のみで治療を終了することも可能です。ただし、円錐切除術では産道の一部をわずかに切るので、早産のリスクが若干高まります。

切除後も経過観察が必要

高度異形成や上皮内がんで円錐切除を受けた場合には、残った子宮にウイルス感染が持続していたり、あるいは新たなウイルス感染をしたりして、数年後あるいは十数年後に、また新たな子宮頸部の病変が出てくるリスクは、通常の人より高いと言われています。

角田先生は、「子宮が残っているのであれば、普通の人と同等か、より慎重な検査が必要で、細胞診で定期的に検査を続けることが大切です。」と語ります。

図3 円錐切除術
図3 円錐切除術詳細

図3 円錐切除術

進行がん(ⅠB1期以上)の治療

子宮全摘出術

上皮内がんであっても、円錐切除術で切除した子宮頸部の中にがん組織が収まっている場合はこの治療のみで終了できますが、残した子宮にがん組織も残っている可能性がある場合や、少し進行して深さ3mmを超えたがん(ⅠA2期以上)の場合には、一般には、子宮をすべて取り除く「子宮全摘出術」が行われます。

慶應義塾大学病院やがん研有明病院など、ごく一部の施設においては、やや進んだⅠB1期までの進行がんに対しても、「広汎子宮頸部切断術」という子宮体部を残す手術を行っています。保険適用外の手術で、成功しても早産のリスクはかなり高まりますが、妊娠する可能性を残し、出産にまで至る例もあります。

化学放射線療法(CCRT)

がんが頸部以外にも広がっているⅡ期になると、かつては、手術療法が主体でしたが、近年、抗がん剤による化学療法と放射線療法を併用する化学放射線療法(CCRT)が、治療成績において手術療法と大差がないことが分かってきました。

角田先生は、「Ⅱ期では、手術だけでは治せず、手術後に化学療法や放射線治療を加えなければならないことが多いので、手術せずに同等の治療効果が得られるCCRTを勧めることが多くなりました」と語ります。

CCRTでは子宮、卵巣は残りますが、放射線療法の影響で治療後の妊娠・出産はできません。

Ⅲ、Ⅳ期はがんが広がり過ぎて手術ができないので、原則としてCCRTを行います。完全に治すことはなかなか困難ですが、一定の効果は期待できます。

ライフステージに照らして治療法を選択

HPV感染や子宮頸がんの治療の選択は、自分のライフステージとの相談になります。

同じく高度異形成と診断された患者さんでも、10%が「がん」になるということの重みは、ライフステージによって全く違ってきます。例えば、既に子どもが何人かいる人は、円錐切除術を選択することにためらいは少ないかもしれません。しかし、不妊治療中の人にとっては、妊娠はできても早産の確率が少し高まるというリスクは、重大なことでしょう。

「特に中等度異形成と分かったときには、子どもを望む気持ちや年齢を考えて、経過観察にするのか治療をするのかを、主治医と相談してじっくり決めてください」と、角田先生は助言します。

妊婦健診に細胞診が追加

また、妊娠をきっかけに、子宮頸がんが見つかることもあり得ます。2016年4月から東京都では、妊婦健診で、今まで自費だった子宮頸部細胞診の費用が公費補助されるようになりました。

もし、妊婦健診時の細胞診で異形成が見つかった場合でも、長くても10カ月以内に出産に至り、妊娠は終了するので、多くの場合は、出産後の治療を選択することになります。妊娠をきっかけに進行がんが見つかって、子宮を摘出せざるを得なくなるのは、非常に珍しいケースだとされます。

子宮頸がん予防ワクチンについて

子宮頸がんとHPVの関係は、肝臓がんと肝炎ウイルス、胃がんとピロリ菌の関係と似ています。子宮頸がんは、原因が明白ながんで、かつ予防が可能ながんなのです。このため、世界保健機関(WHO)では、HPV感染予防ワクチンの接種を推奨しています。

角田先生は、「HPVに感染する可能性が低い10代前半にこのワクチンを接種しておくことで、子宮頸がんの発症をより効果的に予防できます」と語ります。

日本では2010年4月から、小学校6年~高校1年における接種が勧奨されていましたが、日本では副反応が出たということで、現在は「積極的な接種勧奨の一時差し控え」がされています。

「欧米やオーストラリアなど、多くの国で勧奨されているワクチンです。副反応ばかりがクローズアップされていますが、公費による定期接種は継続されています。十分リスクを理解した上で、後のベネフィットを勘案して、私は接種を勧めています」(角田先生)

ワクチン接種を中断しているケース

ワクチンは腕の筋肉に注射し、十分な予防効果を得るためには3回(初回、1カ月または2カ月後、6カ月後)の接種が必要です。副反応の報道などにより、ワクチンを1度打って中断しているケースでは、1回でもそれなりの効果はあり、遅れて2回目、3回目を打っても効果は高まると期待されます。

「2回打っているとかなり効果的で、最近は2回で十分だという研究報告も出てきています。1回目で何もなければ、安心して2回目、3回目打っていいでしょう」(角田先生)

ワクチンは万全ではない

ただし、このワクチンは万全ではありません。圧倒的に進行が速い16型と18型のみを標的にしたワクチンで、子宮頸がんの約7割程度に有効と推測されていますが、すべての子宮頸がんを予防できるものではありません。このため、ワクチンを接種しても子宮頸がん検診は必ず受けなくてはなりません。また、すでに16型と18型に感染している人には、このワクチンの治療効果はありません。

「子宮体がん」について

もう1つの子宮のがん、子宮体がんにもふれておきます。子宮体がんは、高齢化と共に増加傾向にあります。子宮体がんの患者は、40歳未満は5%未満しかいませんが、40歳代から増え始めて閉経後にピークが来ます。

子宮体がんの危険因子

子宮体がんは、女性ホルモン、中でも卵胞ホルモン(エストロゲン)との関連が高いことが知られています。危険因子として、卵胞ホルモンが規則正しく出ておらず月経異常が続いていた、閉経年齢が遅い、出産歴がない、太り気味、糖尿病、高血圧などがあげられます。また、乳がんで術後のホルモン療法(タモキシフェン)を受けている人もなりやすいことが分かっています。さらには、乳がんや大腸がんにかかったことがある人やその家族も一般の人よりなりやすいとされています。

若い女性に多い子宮頸がんとはほぼ対照的で、子宮体がんは出産していない高齢者に多いため、両方にかかるケースはあまりありません。

子宮体がんの症状・検査

不正性器出血を見逃さない

早期にはほとんど症状が出ない子宮頸がんとは異なり、子宮体がんの多くは進行が緩やかながんで、不正性器出血に気付いてから治療しても十分に間に合います。閉経後に不正性器出血の症状があれば、早めに婦人科を受診したほうがいいでしょう。しかし、一部には急速に進行するタイプがあるので、注意が必要です。進行すると、おりもの、腹痛なども伴うことがあります。

子宮体がんは、最初は超音波検査で子宮内膜の状態を観察し、子宮内膜を採取する器具を子宮内に挿入する子宮内膜細胞診や内膜組織診を行うなどして、診断をつけます。

子宮体がんの治療

患者は一般に高齢者が多いことから、治療は、子宮全摘出術をすることがほとんどです。2014年4月から、早期の子宮体がんは、従来の開腹手術だけでなく、腹腔鏡下手術も保険で受けられることになりました。一定の技術があると認定された施設に限られますが、実施可能な施設はどんどん広がっています。進行した子宮体がんの腹腔鏡下手術には、保険は適用されません。

腹腔鏡下手術は、腹部に直径0.5~1.2cmの穴を4~5ヶ所開けて、そこから腹腔鏡を含むすべての器具を入れて操作する手術です。傷や痛みが小さく、回復も早いため術後3~4日程度で退院が可能になり、患者さんの負担は大幅に軽減されます。

出産を望む場合

40歳未満の患者さんも5%未満いて、中には出産を望む人もいます。この場合、ホルモン療法という選択肢もあります。手術による子宮摘出が第一選択ですが、どうしても手術を避けて子宮を残したい人に、黄体ホルモン(プロゲステロン)を大量に投与して、妊娠にまで漕ぎ着ける人もいますが、非常にまれなケースです。

角田先生は、「ホルモン療法は、妊娠・出産するまでの時間を稼ぐために、ホルモンを使ってがんを一時的に休眠させるためのものです。治癒効果はないので、妊娠のために自分の生命リスクを賭ける治療法だと心得ておいてください」と強調します。

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角田 肇先生の詳細プロフィール
NTT東日本関東病院 産婦人科 部長 角田 肇

NTT東日本関東病院 産婦人科 部長

取得専門医・認定医

  • 日本産科婦人科学会専門医
  • 日本婦人科腫瘍学会専門医
  • 日本臨床細胞学会指導医
  • 母体保護法指定医
  • 日本がん治療認定医機構暫定教育医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
  • 婦人科腫瘍暫定指導医
  • 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医

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