医療特集
Vol.047 頻尿(夜間頻尿)や尿意切迫感について
患者頻尿(夜間頻尿)や尿意切迫感は「尿路の異常」が原因ですか?
医師
頻尿や尿意切迫感は生活の質(quality of life:QOL)を低下させ、加齢とともにその頻度が増加します。
夜間頻尿を含む頻尿の原因は、(1)多尿、(2)膀胱蓄尿障害、(3)不眠の3つに大別されます。「尿路の異常」では、上記(2)膀胱蓄尿障害が原因となるものです。
代表されるのは男性の前立腺肥大症があり、残尿が多いと有効膀胱容量が低下していることになります。一過性のものでは、感染性膀胱炎や膀胱付近の尿路結石、また膀胱腫瘍でもまれにあります。
患者「尿路の異常」以外に原因はどのようなものがありますか?
医師
上記(1)多尿では、ただ単に水分過剰摂取によるものから糖尿病や腎不全の利尿期、尿崩症などが原因です。利尿剤や降圧剤などの薬剤性もあります。
(2)膀胱蓄尿障害では、脳や脊髄疾患により神経を介しての膀胱への命令がうまくいかず蓄尿できなかったり、うつ病や認知障害で心因的に蓄尿できなかったり、大きな子宮筋腫などの圧迫で蓄尿できなかったり、と他臓器の病気が原因となります。
(3)不眠は、夜間頻尿の原因の一つです。最近テレビコマーシャルでも言われている過活動膀胱というのがあります。そもそも過活動膀胱とは、「尿意切迫感を必須症状とし、通常頻尿および夜間頻尿を伴うが、切迫性尿失禁の有無は問わない症状症候群」と定義され、病名というよりは症状の総称です。鼻水や咳が出る時に「風邪(感冒)」と呼ぶようなものです。
風邪をひくのにいろいろな原因があるように、過活動膀胱も単に「尿路の異常」だけが原因ではなく、原因を特定できない突発性やいくつか
の原因が複合的に関与していることがほとんどです。
患者生活習慣で気をつけることはありますか?
医師
このように原因が多岐にわたり、また一つでないことが多いため、単に泌尿器科の治療だけでは症状の改善に至らない場合があります。「尿路の異常」以外の原因を含め一つ一つ改善していくしかありません。
生活習慣で注意したいのは、多飲による多尿です。多尿の定義は、40ml/kg体重/日以上となります。体重60kgの人×40ml=2,400ml/日以上が多尿です。
また、睡眠が浅くなると尿意覚醒閾値が低下し、夜間頻尿になったりします。日中、適度な運動で良眠を得ることで改善につながることがあります。
本文は、NTT東日本関東病院 広報誌「もしもし」2014年3-4月号に掲載された記事を転載しています。
指定場所から病院を探す
気になる症状があるときは、早めの受診をおすすめします。自宅近くや通勤途中の駅など、通いやすい場所から専門の医療機関を探してみましょう。
病院検索では、全ての診療科目一覧から探すことができます。
で医療機関を探す
- 検索履歴(場所):
-