患者肺がんの分子標的薬について教えてください。
医師
従来の抗がん剤は、正常細胞にも作用するため、副作用が起こります。一方、分子標的薬は、がんにのみ起こっている遺伝子異常を標的として開発された薬剤で、毒性が少ないことが期待されています。肺がんに対する分子標的薬は、日本ではイレッサ®、タルセバ®が保険承認されています。
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医療特集
回答:
NTT東日本関東病院 呼吸器科・肺外科 医長
臼井 一裕
医師
従来の抗がん剤は、正常細胞にも作用するため、副作用が起こります。一方、分子標的薬は、がんにのみ起こっている遺伝子異常を標的として開発された薬剤で、毒性が少ないことが期待されています。肺がんに対する分子標的薬は、日本ではイレッサ®、タルセバ®が保険承認されています。
医師
東洋人、女性、腺がん、たばこを吸ったことのない方に有効性が高く、たばこを吸う人、欧米人、男性、腺がん以外の肺がんには、有効性が低いとされています。なぜこのように有効性に差があるのか不明でしたが、最近、EGFRと呼ばれる遺伝子に異常がある人に対して有効性が高いことが分かりました。これらの遺伝子異常が、東洋人、女性、腺がん、たばこを吸ったことのない肺がんに多く認められるため、イレッサ®が有効であることが判明しました。EGFR遺伝子異常を有する肺がんに対するイレッサ®の有効性は、70%程度とされています。肺がんの診断に用いられた検体で、EGFR遺伝子異常を調べることが可能ですので、有効性を予測することが現時点では可能です。
医師
下痢、にきび様皮疹(ひしん)、肝機能障害などが比較的多く起こりますが、休薬や減量により対処可能です。厄介なのは間質(かんしつ)性肺炎と呼ばれる重度の肺傷害で、命に危険を及ぼすことがあります。もともと肺に障害のある人は、ほかの治療を選択することをお勧めします。
本文は、NTT東日本関東病院 広報誌「もしもし」2009年3-4月号に掲載された記事を転載しています。
情報提供元 : (C)NTT東日本関東病院
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