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若い女性に多いバセドウ病 - 日常生活、橋本病、甲状腺のがん 病気を知ろう 医療特集 - メディカルiタウン


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医療特集

若い女性に多いバセドウ病 - 日常生活、橋本病、甲状腺のがん

更新日:2017/03/22

仕事や日常生活、妊娠・出産への影響など気になることについて、また橋本病や甲状腺のがんについても伺いました。

NTT東日本関東病院 仁科 祐子

お話を伺った先生:

治療中、治療後の生活

治療中でも日常生活はそれほど制限されない

「甲状腺ホルモンが過剰なときは頻脈になりますが、例えば、脈拍が100以上に上がっているときは、実際には座っていても、脈拍数としてはジョギングしているようなレベルです。そうしたときにさらに運動をすると、心臓などに与える負荷が大きくなりすぎるので、控えてください」(仁科先生)

また甲状腺機能が安定しない間は、大きな検査や手術治療は控える必要があります。それ以外は治療中・治療後とも、仕事や日常生活について制約はほとんどありません。

ホルモンが正常化すれば妊娠も可能

若い女性が多い病気ということで、結婚や妊娠に対して、不安を抱いている人も多いでしょう。しかし、バセドウ病は、きちんと治療して、甲状腺ホルモンの分泌が正常化していれば、妊娠には差し支えありません。女性がバセドウ症になると、妊娠初期に流産しやすくなる可能性が高まりますが、妊娠中に発症するのは、極めて珍しいケースだとのことです。

仁科先生は、「診断・治療の経過を見て、甲状腺ホルモンの状態が安定したのを確認して、計画的に妊娠することが望ましいでしょう」と助言します。チアマゾールを使用していた人が、妊娠を希望する場合は、もう1つのプロピルチオウラシルに切り換えて、効果が得られるかどうかを確認する必要があります。また繰り返しになりますが、アイソトープ治療を受けても、妊娠に問題はありません。

ヨウ素の摂取を制限しなくてもよい

甲状腺ホルモンの原料になるヨウ素は、人体に必須のミネラルです。最も多く含まれている食品は昆布ですが、ワカメやひじきなどの海藻類にも含まれています。

日本食は、伝統的に昆布でだしを取ったり、旨味調味料の中にもヨウ素が入っていますから、我々の食事には多かれ少なかれヨウ素が含まれています。このため、かつてはバセドウ病になると、ヨウ素を含む食品を制限していましたが、今は積極的に制限するメリットはあまりないと考えられており、治療中も特に制限することはありません。

ただし、シンチグラフィやアイソトープ治療など、放射性ヨウ素の検査・治療を受ける場合には、食品中のヨウ素の影響を排除するため、2週間ほどヨウ素を多く含む食品の摂取を制限してもらいます。

バセドウ病の再発、合併症について

ホルモンが過剰な状態になることを再発と呼ぶのであれば、バセドウ病は、再発が多い病気です。

治療方法でいうと、手術やアイソトープ治療は薬物療法に比べて、再発しにくい治療と言えます。甲状腺を大幅に切り取ったり放射性ヨウ素で破壊したりすれば、また甲状腺ホルモンが作られだしても、正常範囲を維持できるからです。

次の選択として、アイソトープ治療

「薬物療法により2~3年で約半分が薬をやめられるとお話ししましたが、残りの半分はやめられないということになります。その時点でアイソトープ治療を検討してみるのが、一般的な治療の流れです」(仁科先生)

ごくまれだが生命に関わる合併症など

バセドウ病は、基本的には命に関わるような病気ではありませんが、合併する症状によっては、深刻な状態になることがあり得ます。

まず、頻脈を放置しておくと、心臓が過剰な働きを強いられて疲弊するので、心不全につながることがあります。特に高齢者は加齢の影響も加わるので、治療の初期に、脈を穏やかにする目的で、高血圧治療薬であるβ遮断薬を抗甲状腺薬に併用することがあります。

もう一つ、甲状腺クリーゼという深刻な状態もあります。これは、生命が危険となるような激しい症状を示す甲状腺中毒症で、ひとたび発症すると、高熱、激しい頻脈、意識障害などが起こってきます。緊急に治療しなければ致命的な状態ですが、最近は適切な治療を受ける人が増えたために、極めてまれにしか起こりません。

橋本病について

甲状腺ホルモンの分泌が過剰なバセドウ病に対して、分泌が少なすぎる「橋本病」という病気があります。

甲状腺の機能が低下する病気

橋本病もまた自己免疫疾患の一種で、バセドウ病とは別の自己抗体によって、甲状腺組織に慢性的な炎症が起こってきます。この状態が長く続くと、甲状腺機能低下症を起こすことがありますが、一方で、橋本病であっても、甲状腺機能は正常だという人もいます。

甲状腺機能低下症になると、バセドウ病とは逆に新陳代謝が悪くなるのですが、疲れやすくなるなど、自覚症状では共通していることが多くあります。橋本病は、圧倒的に女性が多く、40~60歳代が中心です。身内に発症した人がいることもリスクになります。バセドウ病が自己免疫疾患で比較的多い病気であることは前述しましたが、橋本病はさらに頻度の高い自己免疫疾患です。

検査は血液検査が中心で、補助的にエコー検査も行います。長期間経過して甲状腺機能が一定のレベルを下回ってきたら、無症状でも、甲状腺ホルモン剤の服用が必要になります。長期的に見ると徐々に進行していく病気ですが、服薬を続けることで、身体の機能を全く問題ない状態に維持できます。甲状腺ホルモン剤は極めて副作用が少ない薬です。

甲状腺のがんについて

バセドウ病の人に、甲状腺がんが発見されることもあります。ただし、全く別の病気として併存していたもので、バセドウ病になるとがんにもなりやすいといったことはありません。橋本病では、血液性のがんの1つである悪性リンパ腫の併発が多いことが知られています。

甲状腺のがんは穏やかなタイプが多い

甲状腺のがんになっても、甲状腺ホルモンや甲状腺の機能には影響が出ないので、甲状腺の腫れやしこりで気づくか、別の目的で取ったエコーやCTで偶然発見されることが多いようです。約9割は「乳頭がん」という、成長が緩やかな性質のがんのため、直系5mm以下の場合は、手術せず経過観察することが多くあります。一部に、「未分化がん」という進行が速く、悪性度が高いがんがあります。

かかりつけの医師、または内分泌の専門科を受診

甲状腺は、人体にとって不可欠な臓器の1つです。「気になる症状があったら、かかりつけの先生に相談するか、内分泌の専門科を受診して、適切な治療につなげてください」と、仁科先生は助言します。

仁科 祐子先生の詳細プロフィール
NTT東日本関東病院 仁科 祐子

NTT東日本関東病院 糖尿病・内分泌内科 医長

取得専門医・認定医

  • 日本内科学会内科認定医・総合内科専門医
  • 日本内分泌学会内分泌代謝科(内科)専門医
  • 日本糖尿病学会認定専門医
  • 日本甲状腺学会専門医

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