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病気事典[家庭の医学]
ふるえがある
執筆者: 昭和大学横浜市北部病院院長 田口 進
ふるえ
ふるえは、医学用語では振戦(しんせん)といい、自分の意思とは関係なく手や足、あるいは全身が反復運動することです。
ふるえから考えられる主な病気
主な症状と、付随する症状から、疑われる病気を調べることができます。
病気名を選択すると、その病気の解説へ遷移します。
症状 | 疑われる病気名 | |
---|---|---|
安静時にふるえる。動作を起こすと治まる(安静時振戦) | 手足のふるえ、筋肉のこわばり、動作緩慢、前屈姿勢 | パーキンソン病 |
一定の姿勢をとるとふるえる(姿勢時振戦) | 暑がり、動悸、頻脈、食欲増進、体重減少、眼球突出、怒りっぽい | 甲状腺機能亢進症 |
両腕を水平に上げて手首を反らすと、手が鳥が羽ばたくようにふるえる(羽ばたき振戦) | 肝硬変、ウィルソン病 | |
運動時に著しくふるえる(動作時振戦) | 視力低下、手足の脱力、感覚低下、歩行障害、しゃべりにくい | 多発性硬化症 |
高熱が出る前に寒気・ふるえが起こる | 急性腎盂腎炎、急性扁桃炎、急性胆管炎、化膿性骨髄炎 | |
その他 | パニック障害、チック、アルコール依存症など |
- [ご利用上の注意]
- 一般的な医学知識の情報を提供するもので、皆様の症状に関する個別の診断を行うものではありません。気になる症状のある方は、医療機関にご相談ください。
ふるえがある
病気としてのふるえ(振戦)には、以下のようなものがあります。
安静時振戦
安静にしている時にふるえ、動作を起こすと弱まり消えていくものです。パーキンソン病がその代表で、筋肉はこわばり、動作が緩慢になり、姿勢は前かがみになって簡単に転びやすくなります。パーキンソン病とよく似た症状を示す病気を総称してパーキンソン症候群とかパーキンソニズムといい、多発脳梗塞(のうこうそく)、脳炎、一酸化炭素中毒、マンガン中毒、薬物による副作用などが含まれます。
姿勢時振戦
ある一定の姿勢をとるとふるえが起こるもの。バセドウ病など甲状腺機能亢進症などで現れます。
動作時振戦
動作をしている時に顕著にふるえるもの。多発性硬化症などで現れます。
なお、ふるえの元となる病気などがなく、原因不明のふるえを「本態性振戦」といいますが、これは安静時にはほとんど起こらず姿勢時・動作時に起こるのが特徴です。上肢に最も多く現れ、とくに字を書く、箸でものをつかむなど筋肉に一定の緊張が必要とされる姿勢時に著しくなります。
情報提供元 : (C)株式会社 法研 | 執筆者一覧
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