病気事典[家庭の医学]
けつえきいっぱんけんさ
血液一般検査
血液一般検査について解説します。
執筆者:
昭和大学医学部医学教育推進室教授
高木 康
医療機関で受ける血液一般検査をまとめました。基準値は、医療機関によって若干、異なることがあります。
検査項目と基準値一覧
検査項目 | 基準値 | 疑われる主な病気など |
---|---|---|
赤血球数 |
男性:400~550万/μL
女性:350~500万/μL |
高値
→多血症、脱水
低値 →鉄欠乏性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血、白血病、妊娠 |
ヘモグロビン
(血色素量) |
男性:14~18g/dL
女性:12~16g/dL |
高値
→多血症、脱水
低値 →鉄欠乏性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血、白血病、妊娠 |
ヘマトクリット
(Ht) |
男性:36~50%
女性:34~46% |
高値
→多血症、脱水
低値 →鉄欠乏性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血、白血病、妊娠 |
赤血球恒数 |
MCV:80~98fL
MCH:27~32pg MCHC:32~35% |
→小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血、サラセミア) →正球性正色素性貧血(溶血性貧血、急性出血、腎性貧血、再生不良性貧血) →大球性貧血(巨赤芽球性貧血、肝機能障害による貧血) |
網赤血球数 | 0.5~2.0% |
高値
→溶血性貧血、鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血
低値 →再生不良性貧血、骨髄線維症、急性白血病 |
白血球数 | 3500~9000/μL |
高値
→細菌感染症(扁桃炎、肺炎、胆嚢炎、腎盂腎炎、急性虫垂炎、蜂窩織炎)、白血病、外傷
低値 →再生不良性貧血、悪性貧血、骨髄障害(放射線、薬剤)、脾機能亢進症 |
血小板数 | 15万~40万/μL |
高値
→本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病、感染症、血栓症
低値 →再生不良性貧血、急性白血病、巨赤芽球性貧血、脾機能亢進(肝硬変、バンチ症候群)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、全身性エリテマトーデス(SLE)、播種性血管内凝固症候群(DIC) |
赤血球沈降速度
(赤沈、血沈) |
男性:12㎜/時
女性:15㎜/時 |
亢進
→悪性腫瘍、血液疾患(多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、再生不良性貧血、急性白血病)、急性・慢性感染症、膠原病、肝臓病
遅延 →多血症、播種性血管内凝固症候群、低フィブリノゲン血症 |
血液ガス |
pH:7.35~7.45
PaO2 :80~100㎜Hg PaCO2 :35~45㎜Hg HCO3– :22~26mEq/L |
アシドーシス(pHが基準値より低値)
・呼吸性アシドーシス→慢性閉塞性肺疾患、肺結核後遺症、神経筋疾患、睡眠時無呼吸症候群、肥満 ・代謝性アシドーシス→腎不全、糖尿病性アシドーシス、尿細管性アシドーシス、下痢 アルカローシス(pHが基準値より高値) ・呼吸性アルカローシス→過換気症候群、間質性肺炎、肺線維症、肺水腫、肝不全、甲状腺機能亢進症、妊娠 ・代謝性アルカローシス→ループ利尿薬投与、胃液の喪失、重炭酸投与による下痢、原発性アルドステロン症、クッシング症候群 |
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