病気事典[家庭の医学]

きじゅんちとは

基準値とは

基準値とはについて解説します。

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解説

検査には、前述したように、X線撮影などのように画像などで示される生体検査と、血液検査など数値で示される検体検査があります。そのうち、画像で示されるものについては、専門の医師でなければ読み取ることはできません。それと違って数値で示される結果については、患者さんもそれが意味することをできるだけ理解することが大切です。

検査結果の通知用紙には、その項目の基準範囲が書かれているので、正常か異常かはひとめでわかります。しかし、いわゆる「基準値」と呼ばれるものについては補足説明が必要です。

基準値は健康の目安

基準値は、従来、正常値と呼ばれていましたが、現在ではほとんどが基準値あるいは基準範囲と呼ばれています。

基準値とは通常、医学的に健康な特定の条件下での集団(120人以上)の検査データのうち、上限と下限をそれぞれ2.5%ずつカットした残り95%の人が示す統計的数値の範囲になっています。

このため、この上下限の5%の人は基準値からは外れますが、実際は健康であるわけです。基準値から外れると不安になりますが、基準値はあくまでも健康の目安と考えたほうがよいでしょう。

経年的変化が重要

また、検査データの数値は体質による個人差があり、そのときの体調によってもかなり左右される項目もあります。

たとえば、白血球数は一般に3500〜9000/μLが基準値とされていますが、数値が基準値より多少低くても、それが常に低値で変動しているなら、それがその人の基準値で、体質といえるでしょう。一方、数値が基準値内であっても、それまでの傾向に比べて変動の幅が大きければ、生体内で何らかの異常が発生している可能性があります。

このように、ある人にとっては基準値内にあったとしても異常である場合もあるし、反対にある人が基準値を外れていても、個人差やその他の条件を考えれば、その人にとってはそれでも健康である場合もあるのです。

つまりは、自分なりの基準値というものを知っておくことが健康管理には重要になります。定期健診などでの検査データを通じて、自分にとっての基準値を把握し、それが変化したときに、何か問題があるのかどうか医師に相談するような心構えがあればベストと考えてください。

施設によって異なる基準値

検査データの数値は、検査を受けた施設によって基準値が異なることがしばしばあります。検査方法や測定機器、使用する試薬が異なったりするからです。そのため、ある施設では「正常」でも、同じ数値が別の施設の基準では「要再検査」になってしまうこともあります。このような場合では、ほとんどは大丈夫だと思われますが、まずはそのことをたずねてみてください。

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