病気事典[家庭の医学]

けんさのもくてき

検査の目的

検査の目的について解説します。

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病気の検索

医療機関で行われる検査の目的は、ひと言でいえば病気の有無の判定とその検索です。

私たちが訴える体のさまざまな症状を医師は詳しく聞き取り、また、過去の病歴や家族の健康状態なども参考にして、現在の状態がいかにあるのか、どのような病気が考えられるのか、だいたいの判断をつけます。

軽いかぜのような症状なら、問診(もんしん)(医療面接)と身体診察くらいで見当がつき、あとは薬の処方、生活上の注意などで診療は終わります。「しばらく経過をみて、何か変化があればまた受診してください」といわれます。

それでも、何か気になることがあれば、念のため血液や尿をとったりして、ごく一般的な項目について検査が行われるでしょう。

「とりあえず調べてみましょう」というレベルから、病院の検査は始まります。緊急時を除き、通常は私たちの肉体的な負担が少ない検査から行われます。

また、訴える症状から、すぐに手を打たなければならない病気が考えられるとしたら、この段階から目的を絞り込んだ検査(精密検査)が準備されます。「念のため」の検査で気になる結果が出たとしても、やはり絞り込んだ検査が必要です。

病院で受ける検査は、どれも単独ではなく、病気の診断のための次の検査を念頭に置きながら、一連の流れが用意されています。

診断の確定

検査によって病気の検索をしたのち、病気が確定されます。別の病気との見分け(鑑別)がなされ、たいていは同時に治療方法・方針が決まり、本格的な治療が開始されます。

ときには病気の確定が難しく、いろいろな検査を繰り返し行い、とりあえずの診断をして治療を進めながら、さらに検査をして、やっと病気が何であるかわかるというケースもあります。

経過の観察

種々の検査の結果、気になることがある時は、注意をしながら様子をみていくという経過観察もよくあります。

その場合、一定の期間、間をあけてから再び検査をするという方針がたてられます。

治療効果の判定

本格的な治療が始まってからも、検査は極めて重要なデータを提供します。治療がうまく効果を発揮しているかどうか、別の方法を考えるべきか、別の病気が合併することはないかなど、検査をしながら治療の効果を判定していきます。

また、治療によって病気が治ったあとの再発を発見するためにも、検査が行われます。

検査結果は、そのときの体調を確認すると同時に、今後の変化の可能性を示すものでもあります。ともすると「検査づけ」などという印象を受ける場合もあるかもしれませんが、それぞれの検査の目的、意義について、わからない点は医師に質問し、納得したうえで検査を受けていくことが大切です。

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